船体長さ266メートル、総配水量2万7000トン、1960年以後37年間の全航海距離1万海里。湾岸戦争など実戦経験豊富。フランス海軍の自尊心で通じた核推進空母クレマンソー号の威容を表す履歴書だ。しかしこの船の“末年”は不名誉きわまりない。1997年退役した後“眠りにつく場”が見つからず、世界各国を流れたのだ。解体作業のために訪れたスペイン、トルコ、インドではいつもひじ鉄を食らった。空母のあちこちの機資材と部品に、人体に致命的な発がん物質の石綿(アスベスト)が700トンほど含まれているという理由からだった。クレマンソー号は2月にはようやく解体業者に会ってイギリス北東部のティス波止場に移された。