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【コラム】経済危機より恐ろしい社会危機

2009.03.27 16:51
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韓国が通貨危機にあった1998年、米国ハワイで開かれた学会で社会学者たちの間に激論が起こった。韓国が「経済危機」の後遺症の「社会危機」にあっていないかに対する討論だった。

社会危機と診断した学者たちは何種類か社会指標を提示した。詐欺・窃盗などの犯罪が急増している。家族が崩壊し、離婚率が高くなっている。保険金をもらうために自分の子の指を切る非情な父まで現れた。こうしたなどがすべて社会規範が崩れた社会危機の現象だと主張した。

 
劣勢だったが、筆者を含む少数の学者たちは社会危機論を否認した。そんな統計指標はずいぶん前から続いてきた増加状況から大きく脱しなかった。人倫破壊のような極端的な事例は前にもあった。そんな事例を証拠として社会危機と診断することは正しくない。たやすく社会危機と結論付ければ「危機論の危機」に遭うだろう。

こうした主張を繰り広げ、幸いにも韓国は経済危機を脱することができ、社会危機論も影をひそめた。しかしこのごろは筆者も不安が先にたつ。今、進行されている経済危機が社会危機につながるという可能性が濃厚に見えるからだ。社会危機は経済危機よりずっと深刻だ。ひとまず社会危機が近づけば回復するのに数十年かかるかもしれない。過去、反独裁闘争の渦中に生じた公権力軽視現象を見よ。まだ韓国社会が解決できていない持病ではないか。

このように社会病理現象はしつこい生命力を持つ。家族が解体されれば再建するのはほとんど不可能だ。

過去、通貨危機の時と今はいくつかの点で大きな差がある。それで今は社会危機の危険性が高いというのだ。単純に経済危機が長く続くだろうという見通しのためだけではない。過去の通貨危機のときは国民が団結した。崖っぷちで空を見ている国民たちは、なんとか生命線をつなきながらも一緒にがんばろうと叫んだ。

しかし今は国民が団合する理由をなかなか見つけにくい。自分たちだけがんばって解決する危機ではない上、それさえも団結はさしおき、理念の対立と反目と葛藤だけだ。国会も乱闘場で、竜山撤去民死亡事件をめぐり対立が続いている。

もうひとつの大きな差異は貧富格差の広がりだ。1997年当時、韓国は比較的平等な社会だった。都市世帯の所得水準を5等級で分けたとき、当時は常に上の層が底の階より約4倍ほどの収入をあげた。都市、農村地域間の格差まで加わったら今は2つの層の間の所得の差は7,6倍にのぼり、相対的剥奪感が広まるものとみられている。経済危機は底の層を強打するはずで、所得の格差はますます広がることが明らかだ。

こうした状況で我々は毎日、為替、株価指数、利率など経済関連指標のみに接している。経済危機の裏面で進行されている静かなわめきが、社会危機につながる可能性はますます高まっているのにだ。社会危機の進展は社会規範の崩壊、家族解体の信号として子供を捨てる現象、家庭暴力、家庭主婦の淪落行為、離婚率の急騰などとして現れるだろう。危機の徴兆は自殺率や犯罪率が増加して社会不信または社会憎悪心からも表出される。家長の自尊心を崩す失業、そしてそれによる所得二極化、弱者が強者に対して敵がい心を抱くこともすべて危機の兆しだ。

今からでも私たちはそんな社会危機と係わる指標たちをリアルタイムで集め、推移を分析して対応策を用意しなければならない。一夜の泥棒のようにやってくる社会危機の進行を感知すれば対応策を立てることができる上、将来、再びやってくるかもしれない第3の経済危機に対する社会的解決策を見つけることができるからだ。経済指標だけのぞき見て、克服できない危機が今の危機だ。

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