【コラム】資金を引き揚げる外国人、ただ傍観するのか
世界経済が次第に悪化し、1930年代の大恐慌と度々比較される。 同時に、大恐慌当時のことを繰り返さないためには、国際協力をうまくやらなければならない、と話す。 しかし今進められている国際協力を見ると、大恐慌の経験を選択的に適用しているようだ。 貿易障壁を高めるのをやめようということには共感しているが、資金の急激な流出・流入を防いで為替レートを安定させようという議論は行われていない。
1930年代に世界経済が大恐慌にまで悪化したのは、保護貿易だけでなく、急激な資金の流出・流入も大きな原因だった。 資金が突然抜けて為替レートが不安定になれば、あらゆる経済活動がこじれる。 これはその後に登場した世界経済体制を注意深く見ればよく表れている。 第2次世界大戦後、世界経済運用の骨格になったブレトンウッズ体制は「国際通貨基金(IMF)-ガット(GATT)体制」とも呼ばれる。 GATTは保護貿易を防ぎ、自由貿易を促進するための機構だった。 IMFに与えられた最も大きな責務は為替レートの安定的な調整だった。 IMFが短期資金を供給することで、混乱なく為替レートが調整されるようにした。 このため資本統制も当然に受け入れた。