論客という言葉が最近のように広く使われるようになったのは1990年代以後だ。政治民主化とインターネットの影響が大きかった。PC通信と創始期インターネットを舞台に、これまで抑圧されてきた社会的発言が噴出した。新種の知識人にあたる“サイバー論客”1世代が登場した。新聞など制限されたメディアで教授・専門家・評論家という社会的地位を掲げて文を書き、世論を導いてきた知識人グループと違った。制度化された資格にこだわらず、論理と文才だけでネチズンに権威を認められた。俗にいう「階級章はずして行う絶体討論」がこれらの特技だった。