1970年、米国でフルショフの回顧録(『フルショフは記憶する』)が出版されると、すぐに真偽をめぐる論議が起きた。フルショフが64年にソ連共産党第1書記から失脚した後、5年間ひそかに録音してきたテープを入手した、というのが出版社の説明だった。しかし自宅軟禁状態でKGBの監視を受けていた彼の肉声テープが、鉄のカーテンを突き抜けて流出したのかという疑問が絶えなかった。米中央情報局(CIA)の操作説まで出てきた。論議は声紋を分析することで終息した。該当テープの音声と60年のフルショフの国連総会演説録音を比較した結果、声紋が一致したのだ。