北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)核施設無能力化の中断を宣言したのは、ブッシュ米大統領に二者択一の圧力を加えるものだ。 テロ支援国指定解除措置で「無能力化と核申告の完了」という外交的な成果を確保するのか、それともこの2年間の交渉を原点に戻すのか。 今回の件は旧態依然たる北朝鮮の瀬戸際戦術だが、これを米国が自ら招いた側面もなくはない。
米国は2007年の2・13合意を前後して、北朝鮮に譲歩を繰り返してきた。 「核兵器」は交渉の対象に取り上げられもしなかった。 最初は強硬な立場だったウラン濃縮プログラムやシリアへの核拡散問題も先送りした。 テロ支援国指定解除問題も同じだ。 2007年の10・3合意によると、「北朝鮮がすべての核プログラムについて完全かつ正確な申告をすれば、米国は北朝鮮のテロ支援国指定を解除する」となっている。 「検証」に関する内容が抜けているのだ。 もちろん申告には当然これを確認できる検証が伴うのが国際基準だ。 そうでなければ申告する必要がない。