<Mr.ミリタリー>「民主国家北朝鮮」の期待に挑発の懸念も混じる金正恩異変説(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.04.30 15:46
独裁者の終末は悲惨だった。ヒトラーは1945年4月30日、旧ソ連軍が独ベルリンに進入すると、バンカーで「私の遺体を完全に燃やしてほしい」という遺書を残して命を絶った。イタリアの独裁者ムッソリーニはローマを脱出したが、市民に捕まって処刑された。2011年の「アラブの春」革命でチュニジア・エジプト・リビアの独裁者が退いた。絶対権力者は市民のデモで力なく崩れた。昨年もアルジェリアとスーダンの独裁者が市民の抵抗で退いた。峨山政策研究院のチャン・ジヒャン中東センター長は「暴圧政治と腐敗、貧困は独裁政権の弱点だが、没落の決定的な理由ではない」とし「独裁政権は非常に偶発的な事件で世論掌握力を失う瞬間、危機が始まる」と述べた。しかし独裁政権の崩壊は内戦と大量の難民ももたらす。
チャン・ジヒャン氏がいう「偶発的事件」は独裁国家の北朝鮮でも起こるのだろうか。最近、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の異変説が出ている。ところが金委員長の異変説に対する政府とメディアの見方は異なる。金委員長が「心血管手術で脳死状態になった」「倒れて死亡した」から「健在」までさまざまだ。金委員長の専用列車が元山(ウォンサン)に長期間停車し、妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長と崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長など北朝鮮指導部がメディアから消えた。韓国の金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官は28日、「北に特異な動向はない」と明らかにした。文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一・外交・安保特別補佐官も「(金委員長は)健在だ」と述べた。軍情報当局も昨日、「(金委員長は)正常に国政運営をしている」という立場だ。これに関連し、多数の情報関係者は金正恩委員長に関する情報はないという。