兪弘濬氏「中国の敦煌莫高窟から帰ってくると石窟庵が大きく見える」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.04.29 13:04
--中国踏査はひとまず『大陸のスケール』という面で人を圧倒する感じがある。
「その通りだ。中国の文化遺産は壮大な規模の面で私たちを気後れさせる面がある。『紫禁城に行くと景福宮(キョンボックン)は後間(トイレ)ほど(の大きさ)だ」と自嘲気味に話す者が多いが、文化はそのようにして比較するものではない。私たちが2000余年間、中国の影響を受けたのは事実だ。だが、彼らが『これが良いからお前たちも使え』と言って与えたものではない。韓国文化は私たちが選び消化したものだ。中国に文化的劣等感を持つ理由は全くない。東アジア地政学的環境から歴史を振り返ると、われわれ民族の強靭な生命力にかえって自負心を持つことができるくらいだ。東アジアで韓国は堂々とした持分を持つ文化的株主国家だ」
--莫高窟を踏査のハイライトに選んだ。
「莫高窟がなかったら、敦煌はただの凄寥とした砂漠になっていただろう。莫高窟のない敦煌は想像できない。タクラマカン砂漠を縦走してみて、シルクロードという道ができた力は『財』と『宗教』だと知った。1000年という歳月にわたって一つの絶壁に巨大な石窟寺院が数百カ所(492カ所)作られた。仏教美術の宝庫という言葉は誇張ではない」
兪教授は莫高窟は「1000年を超えて巨大な布施が行われたところ」としながら「権力者が美しい石窟を造営することによって願をかけ、自身の権力を誇示した」と説明した。兪教授は「俗に仏教美術といえば寺刹建築や仏像を思い浮かべるが、それは後日のこと」とし「インドから入ってきた時は石窟が先に入ってきた。韓国は石窟を持つことができないため人工石窟を作った。それが石窟庵(ソックラム)」といった。
--莫高窟を見て慶州(キョンジュ)石窟庵の感動を再び強調している。
「中国の文化遺産を深く見るほど、韓国文化の真の価値が新たに感じられるようになる。石窟庵は人類文化史上、類例を見ないような人工石窟だ。過去に石窟庵を測定したソウル大学物理学科元教授のナム・チョンウ氏によると、人工ドームを花こう岩で作ってその途方もない重さの石を切って削って立てながらも、10メートルを測ったとき1ミリの誤差もなかったと言った。韓国の山寺文化と石窟庵は実に誇らしい遺産だ」
--次の計画は。
「敦煌・シルクロードは大長征の開始だった。今年仕上げる第3巻ではトルファン-クチャ-ホータン-カシュガル踏査記を書く計画だ。中国の8大古都と朝鮮時代燕行使節の道、大韓民国臨時政府など韓中文化交流史の現場も訪れる予定だ。中国編踏査記だけで10巻になるかもしれない」
兪弘濬氏「中国の敦煌莫高窟から帰ってくると石窟庵が大きく見える」(1)