武装した北朝鮮兵士10人余りがMDL侵犯…韓国合同参謀本部「警告射撃で北上」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.04.09 06:38
8日、個人用火器で武装した北朝鮮兵士10人余りが江原道(カンウォンド)の軍事境界線(MDL)を侵犯し、韓国軍当局が警告射撃までした後に北上したことが分かった。
韓国軍当局はこれを最近再び始まった北朝鮮軍の最前方断絶措置と関連したものとみているが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領罷免などによる韓国の政治的混乱という状況に乗じて北朝鮮が接敵地域で軍の警戒状態を探ろうとした可能性にも重きを置いている。
この日、韓国合同参謀本部によると、午後5時に江原道東部戦線非武装地帯(DMZ)一帯で20人近い北朝鮮兵士がMDLを越えて南側に下りてきた。兵士たちは小銃をはじめとした個人用火器を所持し、迷彩色の保護服を来ているなど武装した状態だったという。
韓国軍当局は北朝鮮軍がMDLを侵犯する前から監視装備などで彼らの動線を追跡し、北朝鮮軍がMDLを越えると警告放送を実施した。それでも彼らは南下を続けたが、韓国軍当局の警告射撃の後にようやく北上した。
北朝鮮兵士が侵犯した地域のMDLは逆V字形の地形で、彼らはMDLの側面部から進入を始めて約50メートルほど前進したという。MDLのうち、最も遠い地点からと仮定すると最大100メートル地点まで南下したことになる。
北朝鮮軍のMDL越南は昨年6月にもあった。最前方不毛化作業などを行っていた北朝鮮兵士20~30人が中部戦線MDLを侵犯した。そのほとんどは斧やシャベル、ツルハシを手にしていて、施設設置作業をしていた兵力ではないかと推定された。韓国軍もまた、雑草が生い茂っているため彼らがMDLの標識を十分に識別することができずに生じた「単純侵犯」と判断した。
だが、今回南下した兵力は作業服装ではなく武装していた点に軍は注目している。彼らのMDL侵犯が伐木や地雷埋設と同じ最前方の単純作業が目的ではない可能性を調べているのはそのためだ。
軍関係者は「まだ不毛化作業を行っていない最前方地域を事前偵察するのが目的だった可能性がある」と伝えた。
ただし、時期的に韓国のリーダーシップ空白期に起きた事件という点で、韓国軍は北朝鮮兵士が最前方の警戒に弛緩はないかどうか探りを入れるためにMDLを越えた可能性なども残してながら分析を進めている。このような目的なら、これは追加挑発を念頭に置いた事前の地ならし作業ともとらえることができる。
一方、韓国軍当局によると、北朝鮮軍は冬期動員訓練を終えて最前方の南北関係断絶作業に兵力を再び投じた。西部・中部・東部などの戦線に分かれて約1500人がMDL近隣で不毛化作業や地雷埋設などを行っている。