6年ぶりに国際マラソン開催した北朝鮮…観光外貨稼ぎ本格化への信号弾か
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.04.07 15:27
北朝鮮が新型コロナの拡散事態で中断していた平壌(ピョンヤン)国際マラソン大会を6年ぶりに再開した。コロナ禍が徐々に落ち着いてきた後も外交官や友好国国籍の小規模団体観光客だけに絞って制限的に国境を開放していた北朝鮮が今回の行事を契機に外国人観光客誘致に本格的に乗り出すという分析が出ている。
朝鮮中央通信は7日、第31回平壌国際マラソン競技大会が前日開かれたと伝えた。金日成(キム・イルソン)競技場で開幕式が開かれ、中国・ルーマニア・モロッコ・エチオピア国籍の選手をはじめ「世界のさまざまな国や地域から来たマラソン愛好家(同好人)が参加した」と通信は伝えた。
マラソンコースは平壌金日成競技場を出発して凱旋(ケソン)通り-友誼塔-平壌大劇場-万景台(マンギョンデ)学生少年宮殿など平壌の主要地点を巡回するコースで構成されている。特に北朝鮮当局は当初はなかった平壌総合病院を後でコースに含めた。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の政治功績施設を印象づけて今大会を対内外宣伝に利用しようとする狙いを表わしたとみることができる。
1981年から金日成主席の誕生日である4月15日(太陽節)を記念して開かれてきた平壌国際マラソン大会は北朝鮮の代表的な外貨稼ぎ用行事でもある。今大会の参加費は男女フルコース(42.195キロ)基準で150ドル(約2万1870円)、ハーフコース(21.097キロ)100ドル、10キロと5キロはそれぞれ70ドル台だという。
専門家の間から北朝鮮が今大会を契機に国境を全面的に開放して外国人観光客誘致に積極的に出るだろうという観測が出ているのもこのためだ。金委員長が昨年末の労働党全員会議直後、元山(ウォンサン)の葛麻(カルマ)海岸観光地区を訪問して「有利な条件と環境を積極的に活用して観光業を発展させれば社会主義文化建設の新たな領域を切り開くのと同時に地方の振興と国の経済発展を追求するもう一つの動力を手に入れることになるだろう」としながら観光業の育成を強調したこともこのような分析を後押ししている。
実際、北朝鮮は今年初め、中国やロシアにある旅行会社を通じて一部西側観光客を対象にモデル観光を実施して事業性を打診している。これに関連して、韓国統一研究院は最近発刊した報告書「北朝鮮観光産業活性化と統制のジレンマ」の中で、約30万人の外国人観光客が北朝鮮を訪問した2019年の場合、9000万~1億5000万ドルの外貨収入が発生したと推算した。
ただし、北朝鮮の立場で自由奔放な志向を持つ西側観光客を統制するのは予想外の頭痛の種になる場合もある。各種ソーシャルメディア(SNS)が普遍化したことから、外国人観光客が北朝鮮内の劣悪な環境や窮乏した住民の姿をリアルタイムで共有し、敏感な国内事案に対して住民と疎通することはそれ自体で体制に否定的な影響を与える場合があるためだ。
今年初め、北朝鮮を訪問した一部西側観光客が北朝鮮軍のロシア派兵を主題に北朝鮮観光ガイドと話を交わしたという外信報道が出たことがある。北朝鮮当局は派兵の事実そのものを住民に知らせていない。
北朝鮮もこれを意識する雰囲気だ。今年2月上旬に開始した西側団体観光客を対象とした観光を3週間で中断したこともこれと無関係ではないだろうという観測だ。
これについて北朝鮮は自主的な観光ガイドラインも用意しようとしているようだ。中国北京に本社を置く英国人所有の北朝鮮専門旅行会社「高麗ツアーズ」は先月28日、公式サイトに「北朝鮮を旅するコンテンツクリエーターのための有用な情報」という記事を載せた。「北朝鮮内での写真・動画の撮影は可能だが、場所・装備・エチケットに関する厳格な規則を守らなければならない」「最も簡単な方法は写真や動画を撮って構わないかどうか確実ではない場合、先にガイドに尋ねること」などの内容だ。
統一研究院のチョン・ユソク研究委員は「北朝鮮の立場で外国人観光客誘致は足りない外貨を調達できる魅力的な窓口であると同時に外部情報流入によって体制弛緩を呼び起こす可能性もある『両刃の剣』」と話した。