ハンファエアロスペース、3.6兆ウォン有償増資…韓国金融監督院「重点審査」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.03.21 10:10
ハンファエアロスペースがグローバル防衛産業市場を狙って大規模な投資を断行する。欧州と中東には地上武器の輸出を拡大し、米国とは「K造船」協力を強化する計画だ。
ハンファエアロスペースは20日、取締役会を開き、3兆6000億ウォン(約3650億円)規模の有償増資を決議したと公示した。国内で過去最大規模の有償増資だ。ハンファは施設資金に1兆2000億ウォン、他法人への投資に2兆4000億ウォンを確保するためと明らかにした。ハンファエアロスペースの関係者は「中長期的な防衛産業需要サイクル(好況期)が予想される欧州・中東・オーストラリア・米国などに戦略的海外生産拠点を確保する」とし「2035年に連結基準の売上高70兆ウォン、営業利益10兆ウォンを達成するのが目標」と述べた。
今回の有償増資を通した海外投資の主なターゲットは欧州・中東市場だ。ハンファエアロスペースは1兆6000億ウォンを投入してこの地域に地上武器生産拠点を確保し、現地企業との協力のために出資すると明らかにした。輸出現地では武器購買よりも自国内への投資を通した協力生産を好むだけに、現地生産施設を確保して防衛産業の輸出を拡大するという戦略だ。これに先立ちハンファエアロスペースは昨年、ポーランド・ルーマニアとK9自走砲輸出契約を締結し、サウジアラビアには誘導武器体系の天弓IIを輸出した。
ハンファエアロスペースは有償増資後、米国市場を中心に造船・海洋投資も増やす。海外造船施設を追加で確保し、現地施設投資などに8000億ウォンを投じる計画だ。トランプ大統領の海軍戦力強化方針で拡大が見込まれる米海軍艦艇市場に積極的に進出する計画だ。これに先立ちハンファは昨年12月に米フィリー造船所を買収したのに続き、17日(現地時間)には1687億ウォンを投入してオーストラリアのグローバル防衛産業企業オースタルの株式9.9%を取得した。米議会予算局(CBO)によると、米海軍は2054年までに364隻の新しい軍艦を導入するため1兆750億ドル(約270兆円)を投入する予定だ。
未来の戦場の核心技術に挙がる無人機事業には3000億ウォンを投入する。ハンファエアロスペースはグローバル無人機企業との協力を強化し、独自のエンジン開発で航空エンジン技術の自立度を高める計画だ。また自走砲用モジュール化推進装薬(MCS)を生産するスマートファクトリーと国内主要事業場の設備運営に9000億ウォンを投入する。
ハンファエアロスペースの孫在一(ソン・ジェイル)代表取締役は「戦略的な大規模投資を通じてグローバル防衛産業・宇宙航空企業として一段階さらに飛躍することで、もう一度企業価値を高めたい」と述べた。
一方、この日、金融監督院は「ハンファエアロスペース有償増資は増資規模が大きく、1999年以降初めての有償増資である点を考慮し、重点審査対象として審査する計画」と明らかにした。先月、金融監督院は有償増資重点審査制度を導入した。株主権益を毀損するおそれがある有償増資に対して証券申告書に十分な情報が含まれているかなどを点検するという趣旨だ。金融監督院は「対外不確実性が拡大する状況で『K-防衛産業』の先導的地位構築に必要な資金を調達するための有償増資という点で肯定的」とし「計画した日程に迅速に資金を調達できるよう短期集中審査および対面協議など最大限の審査力量を投じる予定」と伝えた。