「お前、公安だろ?」 いきなりカメラ回す…警察は仕事場が地獄になった=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.03.14 08:56
「官等姓名を名乗れ!」
11日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の罷免を求める学生たちの集会の真っ最中だった忠北(チュンブク)大学で極右志向のユーチューバー、アン・ジョングォンさんは自身を制止しようとする警察に向かってこのように一喝した。(官等姓名とは階級と姓名のことで、通常、軍隊などで上官が下官に名前を名乗らせる時に使われる言葉。)ついに車の上にのぼって拡声器を握って警察に対する暴言を繰り返し吐いた。この過程で、集会現場にいたユーチューバーのリアルタイム中継を通じて警察官の顔や声などがそのままライブ配信にとらえられた。
結局、該当の警察官は「すいません。私が謝るから」と話し、アンさんは「男同士で解決できればいい。(車の上に)のぼったこれ(動画)はここでそのまま終わらせる。削除する」と答えた。後ろを向いたアンさんは視聴者に「購読と後援をお願いする」として状況を終えた。忠北非常時局会議によると、この日極右ユーチューバーは忠北大学の集会に乱入して学生たちの顔を携帯電話で撮影して垂れ幕やプラカードなど集会物品を火で焼くなど暴力を行使したという。
尹錫悦大統領弾劾宣告日が近づき、集会現場で警察を狙ったデモ隊の攻撃がますます過激になっている。特に憲法裁判所や漢南洞(ハンナムドン)官邸前など弾劾反対集会で右派ユーチューバーを中心に尹大統領支持者の警察に対する侮辱と嘲弄が続く雰囲気だ。
13日、ユーチューブで「警察公安」「偽中国警察」など関連キーワードを検索すると、集会現場を管理する機動隊など警察の顔や名前など個人情報が入った動画が次々と出てくる。彼らは携帯電話で警察の顔と名刺を撮影して「お前、公安だろ? 習近平犬XXと言ってみろ」とし、思想検証を試みる様子が含まれている。答えることができなければ「おまえOO(名前)、所属を名乗れ」と言って、ユーチューブ動画を通じて名前と顔を公開することを繰り返した。
一部は1989年6月4日の天安門事態を称え、香港民主化運動でよく歌われていた『自由の花』をアンプでボリュームを高めて警察の耳に当てて再生することもある。単にうるさくて耳をふさぐ警察に向かって「中国では禁止曲なので、聞くだけで無条件で死刑だという」「公安だから緊張しているようだ」などと言って追い込む。尹大統領の支持者が集まったソーシャルメディア(SNS)のチャットルームや掲示板「コンサラン」などには「緊急告知」という題名で「集会警察のうち50%が中国用役だ。図体の大きな男・髪の長い女・サングラス着用者らはほとんど全員公安あるいは用役だという」という内容が入った書き込みも広がっている。あわせて「サングラス・マスク・帽子をすべてはがして顔を必ず確認して逆採証せよ」という内容の指令が共有されているという。
◇「警察組織次元の対策なくてもどかしい」
このような形は公務執行中肖像権など個人情報侵害と名誉毀損に該当する。だが、現場の警察がすぐに対応できる方法がない。地方庁所属機動隊員のパクさん(31)は「正常な任務遂行にも悪意的に顔にカメラを向ける場合はとても気分が悪い」とし「ユーチューバーに個人情報を暴かれて非難される同僚はうつ病にかかりそうだと訴えた」と吐露した。
警正(警視に相当)級警察関係者は「集会を一度行ってくるだけで難聴を訴える職員が多い」とし「警察が告訴する過程が非常に難しいのですぐに対応することもできない状況」と話した。ソウル警察庁所属機動隊長Aさんは「現場で感じるジレンマを上部に毎回報告するが、特別な対策が出てこないのでもどかしいのが実情」としながら「人事シーズンの機動隊から転出を希望する後輩が多く、一部は精神科治療まで検討しているという」と話した。
専門家は「個人情報を暴くことが警察に対する私的制裁につながり、公権力が萎縮することを防止しなければならない」と指摘した。法務法人ソインのソン・ドンウン弁護士は「警察官の私生活を侵害したり、業務を妨害したりする目的で撮影し、その過程で警察官に暴行・脅迫・侮辱を加える場合には名誉毀損・公務執行妨害などの容疑を適用して刑事処罰が可能だ」とし「個別の警察だけに任せずに、組織次元でより積極的に対応して処罰してこそ同じ問題が繰り返されることがない」と強調した。