中国からコメ搬入、北朝鮮で1カ月間2倍増…尋常でない食糧難
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2023.04.24 09:24
北朝鮮が今年3月、中国からコメ4万6000トンを搬入したことが分かった。北朝鮮と中国間の月間貿易額も6カ月連続で1億ドル(約134億円)以上となっている。
核・ミサイルの開発にともなう国際社会の北朝鮮に対する制裁と新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の拡散遮断に向けた国境封鎖により、経済難に直面した北朝鮮の経済関連の中国への依存度が高くなっているもようだ。これについて、韓国外交関係者は「一部の地域で餓死者が発生するなど食糧問題が発生したとされる北朝鮮が本格的な春窮期を控えて中国産食糧穀物の輸入量を増やしたのではないか」という観測が出ている。
22日、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、中国税関当局である海関総署は最近まとめた中朝貿易詳細資料で、コメを北朝鮮が3月に中国から最も多く輸入した品目と集計した。報道によると、北朝鮮は先月、単粒種2万6215トンと長粒種2万546トンの計4万6761トン規模のコメを中国から輸入した。
これは今年2月、北朝鮮が中国から輸入した長粒種コメの輸入量1万8785トンより2倍以上多い。金額でも単粒種コメが1333万7400ドルで1位、長粒種コメが842万ドルで4位となった。
北朝鮮は、「長粒米」または「安南米」と呼ばれる長粒種コメを昨年10月に初めて中国から輸入して以来、引き続き輸入している。長粒種は粘り気がなく形が薄くて長い品種で、インドやパキスタン、タイ、中国南部地方などで生産・消費され単粒種より安い方だ。
VOAは、「北朝鮮がコメ輸入だけで2000万ドル以上を支出したのは異例のことだ」とし、「正確な背景は分からないが、北朝鮮の食糧難との関連性が注目される」と指摘した。
中国海関総署の最近の集計によると、今年3月の中朝貿易総額は1億5845万ドルだった。中朝国境都市である中国の遼寧省丹東と北朝鮮の平安北道新義州(ピョンアンプクト・シンウィジュ)を行き来する貨物列車の運行が再開された昨年9月以降、両国間の月間貿易額は6カ月連続で1億ドルを超えている。
特に、最近は中朝間の主要陸上交易路の一つとされる北朝鮮北東部羅先(ラソン)特別市と吉林省琿春市を結ぶ圈河税関でトラック通行を約2年ぶりに再開したことに続き、国境を行き来する車両の運転手に対する身体検査が行われるなど、両国間の本格的な交易再開に備える情況が国境地域で引き続き捉えられている。
このため、中国から材料を輸入し、完成品として加工して中国に渡す「注文者生産方式(OEM)」で生産する製品への関心も次第に高まっている。北朝鮮は、北朝鮮に対する制裁が本格化した2018年から制裁に抵触しない品目である腕時計や靴、かつら、まつげなどの品目の輸出を大幅に増やした。実際、北朝鮮で域外加工形態の貿易は新型コロナのパンデミック以前まで、全体中国向け輸出の約4割を占めた。
北朝鮮が3月、中国に最も多く輸出した品目はかつらや人造まつげ製品だ。輸出額は796万ドルと集計されたが、これは全体中国向け輸出額である2055万ドルの約39%に当たる数値だ。このため、北朝鮮が新型コロナ以来止まっていたOEM生産を再開したのか注目されるというのがVOA側の分析だ。
原州漢拏(ウォンジュ・ハンラ)大学のチョン・デジン教授は「一部の地域で餓死者が発生するなど食糧問題に直面したと知られた北朝鮮が中国との交流を通じてこの状況を克服しようとしているとみられる」とし、「新型コロナの拡散が沈静化している中で中朝国境が開かれれば、このような雰囲気はさらに拡大するだろう」と話した。