【時視各角】歴史的歪曲と想像の間=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2022.01.05 15:25
『日没』という日本の小説がある。性愛をテーマにしている小説家が「文化文芸倫理向上委員会」という政府機関に連れて行かれて精神教育を受ける。小説が強姦を美化していると告発されたためだ。政治的正しさと「キャンセルカルチャー」(SNSフォロワーを取り消すように人権感受性が低い文化人や作品・キャラクターをボイコットする文化)など、最近文化界の流れを反映した2020年の作品だ。政治的正しさが創作の自由の対称点にあるとは考えないが、「正しさに対する倫理的情熱を大切にしながらも、その情熱を『正しさ』自体を疑って相対化するところまで推し進める必要がある」という文学評論家ハン・ヨンインの言葉に共感する。
少し話はズレれるが、最近韓国社会は時代劇の歴史歪曲(わいきょく)論争の真っ只中だ。1980年代を背景に北朝鮮工作員と女子大生のロマンスを描いたJTBC『スノードロップ』のことだ。放送が始まった最初の週から、いや放送前から「民主化運動を蔑視」「安全企画部(安企部)の美化」などの烙印が押された。36万人余りがドラマ打ち切りを求めて請願に賛同した。裁判所はある市民団体のドラマ上映禁止仮処分申請を棄却した。