米国のドナルド・トランプ大統領が２９日（現地時間）、韓米防衛費分担金特別協定（ＳＭＡ）交渉に関連し、「韓国が多くの金を出すことで合意した」と明らかにした。「韓国の金額提案を私が拒否した」と公開してから９日経ったこの日、妥結もしていない防衛費引き上げを業績として前面に出した。韓国青瓦台（チョンワデ、大統領府）と外交部は「まだ合意していない」と直ちに否定した。トランプ大統領はこの日行われた２度の公開行事では「文在寅（ムン・ジェイン）大統領が米国の検査能力がすごいと称賛した」と繰り返し自慢した。

トランプ大統領はこの日、ロイター通信とのインタビューで「韓国の防衛協力のために、米国に多くの金を出すことで合意した」とし「いくらなのか金額は公開できない」と話した。昨年の年末期限を４カ月余り超えて、在韓米軍韓国人用役勤労者４５００人余りの無給休職事態まで招いた交渉が、韓国側の譲歩で妥結したかのように説明したのだ。

トランプ大統領は「われわれは合意することができる。韓国は合意するよう望む」とし「彼らが多くの金を払うことで合意した」とも話した。あわせて「彼らは私がここに来た時（２０１７年１月）よりもはるかに多くの金を出している」と付け加え、繰り返し分担金の引き上げを業績として前面に掲げた。

だが、青瓦台核心関係者は「韓米間防衛費分担金交渉は進行中」としながら「まだ何も合意したものはない」と話した。「合意していないのなら合意していないということ」としながら「この点を考えて報道してほしい」という要請の言葉も添えた。外交部分担金交渉チーム関係者も中央日報の電話取材に対して「まだ何も合意したものはない」と断言した。

突然のトランプ大統領の合意発言に、国務省は「ホワイトハウスに問い合わせる事項」という反応を示した。高位級行政府官僚は３０日、中央日報に対して「韓国と交渉は進行中」としながら「韓国パートナーと相互利益で公平な合意を今後も協議するだろう」とした。

国務省報道官はこれに先立ち、韓国側の韓国人勤労者賃金を７割ラインで支給する提案に「米国は数週間、相互が受け入れ可能な合意に至るために相当な柔軟性を見せた」とし「われわれは韓国政府から追加的な妥協があることを期待している」と語った。事実上、韓国の追加譲歩を要求して提案を断ったのだ。

消息筋は「まだ綱引きが続く状況で、トランプ氏が『多くの金を出すことで合意した』と述べたことは、韓国の譲歩を圧迫すると同時に、１１月の大統領選挙を６カ月後に控えて業績に対する焦燥感を表したもの」とも解釈した。

実際、トランプ大統領はこの日、ルイジアナ州知事との会談と企業家との経済再開円卓会議の２回の公開行事では、米国の検査を文在寅（ムン・ジェイン）大統領が絶賛したと韓国を引き合いに出した。

まずこの日午前、執務室で同州のジョン・ベル・エドワーズ知事に会った席で、「皆さんが韓国に対して多くの良いニュースを聞いたが、文在寅大統領は私に電話をかけてきて米国の検査に関して称賛した」と話した。トランプ大統領は文大統領が「韓国の検査数は世界最大だが、どのようにしてそのようにしたのか」とし「信じられないほどの検査をやり遂げた」と話したことを伝えた。

続いて午後の円卓会議でも「私は韓国の文大統領から『おめでとう。あなたがたの検査は誰も見たことがない』と話した」と紹介した。結局、新型コロナウイルス（新型肺炎）検査に関して文在寅大統領を引き合いに出したことに続き、まだ合意していない防衛費引き上げを業績として広報したということだ。