【コラム】限りなくみすぼらしくなった文大統領のリーダーシップ
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.03.04 08:51
トランプ大統領のメッセージは短くて明確だった。新型コロナ事態が生じると中国人の入国を禁止し、飛行路線を断った。「米国を伝染病から保護するのが我々の目標」として防疫最優先を確実に実行した。中国の習近平国家主席も国内の事態が落ちつき始めると、韓国人の入国者を徹底的に隔離した。韓国人が住むマンションの入口を封鎖したりもした。韓国外交部が抗議すると反論だけが返ってきた。「中国は外交より防疫が優先だ」。両強大国の指導者の似たリーダーシップだ。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領のメッセージはあいまいだった。「防疫と経済、二兎を追うべき」と述べた。「中国の困難は我々の困難」という発言もした。防疫と経済、外交の三兎を追えという不可能な注文だ。先月12日の「防疫は徹底的にするものの、行き過ぎた萎縮は避けなければいけない。予定された行事は計画通りに進めるべき」という丁世均(チョン・セギュン)首相の指示はその延長線だ。官僚らはすぐにコロナに緩く対処すべきという真意を汲み取った。その結果、適当に防疫をして災難を迎えたのだ。大統領の表情ばかり眺めて、感染学会・医師協会など専門家の意見は黙殺された。マスク不足も同じだ。台湾は2月4日から輸出を禁止し、事実上の配給に入った。マスクを戦略物資と判断したのだ。
文大統領は正反対に向かった。所得主導成長で繰り返し市場に介入してきたが、いざマスク不足の時は政府の姿が見えなかった。2月1日-20日のマスクの対中輸出は1億1845万ドルだった。KF94マスクの普段の卸売価格(1枚300ウォン)の3倍の900ウォンとしても1億5000万枚が中国に流れたということだ。国内マスク生産能力(一日1200万枚)をフル稼働しても5000万人の国民に足りなかったが、毎日700万枚以上が中国に出て行った。その結果、マスク1枚を購入するために数時間、数百メートルの行列ができる。世界11位の経済大国の悲しい自画像だ。