野戦食品のため頭を悩ませていた米軍は1960年代、新しい方法を見つけた。 弱いガンマ線を照射すると保管期間が長くなり、新鮮度をはるかに長く維持できた。 3日で傷んでいたイチゴが3週間は軽く保存された。 ジャガイモは8カ月間も芽が出ないまま保管することができた。 新しく開発された「放射線照射」は食品を包装したままで滅菌でき、化学処理とは違い、有害物質も残留しなかった。 世界保健機関(WHO)は人体に無害の食品に分類し、米食品医薬品局(FDA)は学校への給食も認めた。
にもかかわらず、環境団体は放射線照射を禁止すべきだと騒いだ。 やむを得ず、包装紙に5センチの大きさの「放射線照射食品」というシンボルを付けるよう義務規定が準備された。 消費者にとってこのマークは忌避対象だ。 烙印と同じだ。 放射線といえば原子爆弾の災難がまず思い浮かぶからだ。 実際ガンマ線は生命を扱う病院ではるかにたくさん利用されている。 使い捨て注射器や火傷用ガーゼはガンマ線で滅菌する。 コンタクトレンズ洗浄用生理食塩水も、放射線を照射して微生物を殺すケースが少なくない。 ガンマ線を発射して脳腫瘍やがん細胞をなくすガンマナイフは人気絶頂の最先端手術道具だ。