就任からまだ1カ月にもならないヒラリー・クリントン国務長官のアジア、特にソウル訪問を心から歓迎する。 世界はいま過酷な経済危機を迎えながら歴史的な転換期に立ち入り、冷戦の幕が下りて唯一の超強大国に浮上した米国の力だけではこれ以上国際秩序を維持できない点がはっきりと見えてきている。 米国を象徴するイーグルが、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)で制度化された大西洋共同体という一つの翼だけではもはや飛べない時代が到来したのだ。 歴史の中心軸が次第に西から東に移動し、アジア・太平洋時代の幕が上がっている。 幸い、米国は大西洋と太平洋間に位置した大陸国家だ。 このように有利な地理的条件を政治・経済・文化などすべての次元で連係し、今後は太平洋国家として新しいアジア共同体の建設に積極的に参加し、大西洋共同体と太平洋国家という左右の翼で飛翔できる機会を迎えるようになったのだ。 最初の海外訪問を東アジアと定めたクリントン長官の慧眼に敬意を表したい。
韓国人がオバマ大統領の当選とクリントン長官の就任を歓迎するのは、米国政治の一方だけを支持するからではない。 韓国にとって重要なのは、最も近い同盟国である米国がずっと強力な力と自信を維持することだ。 このため米同時テロ後に米国の国際的地位が揺れるのを憂慮の目で見守った韓国人は、オバマ政権の発足が新しい活力を得た米国の新たな出発を知らせる信号弾になることを期待しているのだ。 一方、民主党の党内選挙から大統領選挙と新政権発足にいたる大叙事詩のような民主政治のドラマの中で、クリントン長官が見せた政治家の品格と立派な姿は、苦労して民主化を成し遂げながらもまだ不安定な民主政治の屈折に苦しんでいる韓国にとって尊敬と羨望の対象に違いない。 同時に、クリントン長官のアジアに対する格別の関心で、米国政策の目標と戦略は一次元格上げされると期待される。