「歩いても歩いても」公開控えて来韓した是枝裕和監督(1)
数年前、闘病の末、認知症の症状を見せた母が亡くなった。母が死ぬ前のある日、病院に立ち寄った息子は外出準備をする母を目撃する。何をしているのかと問う息子に母は「息子が自動車を持って来て待っている」と言った。一人息子だった彼は運転免許を持っていなかった。認知症の症状が現れる前、口癖のように「息子が乗せてくれる車に乗りたい」と言った母だった。息子は大きな衝撃を受けた。息子が乗せてくれる車にどれだけ乗りたくて、認知症になった今までもその言葉を繰り返すのか。8日に来韓した是枝裕和監督(47)が、映画「歩いても歩いても」を作ることになった出発点だった。