「ソウル市公務員スパイ事件」の証拠を操作した罪で起訴された国家情報院職員４人全員に懲役刑が宣告された。ソウル中央地方裁判所の刑事合議２６部は量刑理由をこのように説明した。「厳格な遵法意識を持って適法手続きによって捜査すべきなのに、むしろ国家の刑事司法機能を深刻に妨害し、国家情報院に重大な権限と責任を付与した国民の信頼を傷つけた」。裁判所は被告人が犯行を否認して悔いていない点も量刑に考慮したと明らかにした。ただし裁判所は「被告人が国家安保のために２０年以上献身した点を酌量した」と付け加えた。事件捜査途中で自殺を図った国家情報院のクォン課長（５０）の場合、脳の一部が損傷してうつ病を患っている点も考慮された。

国家情報院は今回の判決を、対共捜査を全面的に改革するきっかけにしなければならない。今や、スパイ容疑者の自白や情報提供者の陳述に依存する時代は過ぎ去った。裁判所も証拠がなければスパイ事件として有罪を下すケースは珍しい。さらに自白を得ても捜査手続き上の欠陥を理由に無罪を宣告したりもする。今年９月、ソウル中央地方裁判所は北朝鮮保衛部直系スパイの容疑で起訴されたホン氏（４０）に対して無罪を宣告した。無罪の理由はホン氏が作成して提出した意見書と反省文が適法手続きに沿っていなかったとのことだ。国家情報院の前身である中央情報部と安全企画部がしたことだが、過去にスパイ事件は大量に無罪が宣告されて国家から支給された賠償金だけで７９１億ウォンに達する。

対共捜査の条件はさらに悪くなっている。対共捜査のための海外非公式組織「ＨＵＭＩＮＴ」はほとんど崩壊した状態だ。スパイ活動を監視するための盗聴も以前のように簡単にすることはできない。国家情報院の選挙介入事件、スパイ証拠操作事件など相次ぐ悪材料で、国家情報院を眺める国民の視線は冷たい。

それでも国家安保を守る国家情報院の機能が萎縮してはいけない。特に対共捜査は、国家情報院が存在しなければならない最も重要な理由だ。もう、陳述に依存する古い慣行を捨てるべきだ。スパイ活動がますます巧妙になるだけに、さらに精巧で科学的に発展しなければならないということだ。