酒を造るという「醸」は‘噛む’という意味を含んでいる。 昔は実った穀物をよく噛んだ後、野生酵母で発酵させて酒を造った。唾液の中のジアスターゼという酵素が澱粉を糖分に変える。 酵母はこれを分解し、アルコールを造る。 酒造りは神聖なものだった。巫女しか穀物を噛むことができなかった。釀造法が簡便になったのは麹が登場してからだ。 中国・春秋戦国時代のことだ。 アルコール用のかびを穀類に繁殖させるのに成功した。 女真族は酒を‘ヌロ’または‘ヌルク’と呼んだ。 麹(ヌルク)もこれに由来している。
日本『古事記』によると、西暦300年ごろ、百済(ぺクジェ)から渡った須須保利(ススボリ)が麹で酒を造る技法を伝授した。 須須保利は日本で酒神として崇められている。 日本ではコメで造った清酒を酒と呼ぶ。 最近、国際的には日本酒として通用する。 酒が韓半島に逆輸入されたのは日帝時代。 釜山(プサン)の日本釀造業者が‘正宗’を出し、大ヒットさせた。 幕府時代に有名な刀を作った刀工から付けられた商標だ。 それ以降、韓国では漢字の発音の‘正宗(チョンジョン)’が酒の代表名詞として定着した。