【中央時評】進化する北朝鮮経済、進化しない対北朝鮮政策(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.11.19 15:50
1960~80年代の最高の経済学の教科書はサミュエルソンの『経済学原論』だった。全世界で400万冊以上売れたこの本の著者サミュエルソンは、政府の経済介入の必要性を強調するケインズ主義者であった。ところが80年代中盤に出た改訂版では、政府介入を最小化して貨幣供給の準則に従う通貨主義の立場が大挙反映された。人々がサミュエルソンに、なぜ立場が変わったのかと尋ねた。彼はこのように答えた。「現実が変われば政策も変わらなければならない」。
北朝鮮は変わった。今の北朝鮮は、社会主義の中央計画に立った閉鎖経済ではない。90年代中後半の北朝鮮の深刻な経済危機は北朝鮮住民を市場に追い出した。外貨を稼ぐために機関と企業が貿易をすることも許容された。これは個人と企業の市場活動を禁止して単一国家機関だけが対外貿易を遂行する伝統的な社会主義から大きく離脱したものだ。さらに金正恩(キム・ジョンウン)政権は市場活動を黙認することによって2000年代後半の市場抑圧政策とは違う路線を取っている。これに伴い90年代まではお金があっても買う物がなかった経済が、今やお金さえあれば何でも買える経済に変わりつつある。中国丹東(タントン)の電子製品店、韓国製品店の主な顧客は北朝鮮の人だ。最新のiPadやノートブック、韓国製のご飯ジャーや調理機などを思いのままに買っていっている。