カンヌ映画祭で注目される3人の韓国人監督(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.05.20 17:03
◆「直接シナリオを書いてデビューするしか…」=19日には『トヒよ』が「ある視点」部門で上映される。長編コンペティションと共にカンヌを代表する公式部門であり、独創的なビジョンと形式を追求する映画を披露する部門だ。『トヒよ』は、海辺の村で義父ヨンハ(ソン・セビョク)と暮らす14歳の少女トヒ(キム・セロン)と、村の派出所長として赴任した30代の女性ヨンナム(ペ・ドゥナ)の話だ。生まれて初めて誰かに愛と関心を向けられたトヒが、それに盲目的に執着したあげく危険なことをやって、それによってヨンナムの秘密があらわれる過程を淡々と描く。直接シナリオを書いた初の長編でカンヌに行ったチョン・ジュリ監督(34)は「表面に問題が分かりやすくあらわれるよりも、事件の表面をした外皮をはがせばまた別の局面が見える話に興味を感じる」と話した。彼女がカンヌ映画祭からの事前質問用紙に、最も好きな監督としてスペインの巨匠ペドロ・アルモドーバル監督を挙げたのもそういう理由からだ。「いったいどうして、そんなに複合的な話を選び出すのか、その秘訣が気になる」という。
『トヒよ』は、イ・チャンドン監督が制作を担当した点でも話題を集めた。チョン監督は、撮影中盤ぐらいにイ監督が現場を訪れた時を振り返った。「制作者として新人監督にあれこれ問い詰めることもできたが、私の手を握って『もともと、どんな映画でも撮影中盤を越えた頃が一番大変だ』とおっしゃった。思わず涙があふれた」。チョン監督は忠武路(チュンムロ、映画界)のスタッフ経験がない。彼女は「してみたいと思った時はすでに年を取っていて、どの現場も呼んでくれなかった」として「死のうが生きようが、直接シナリオを書いてデビューするしかなかった」と語った。『トヒよ』の国内公開は22日だ。