英国の欧州連合（ＥＵ）脱退交渉開始は現実にどんな変化をもたらすだろうか。

韓国では今後スコッチウイスキー価格が上がる可能性がある。英国がＥＵを離脱すれば韓ＥＵ自由貿易協定（ＦＴＡ）により与えられた無関税の恩恵が消えるためだ。スコッチウイスキーは韓国ウイスキー市場の９０％以上を占める。当初２０％だったスコッチウイスキー関税率はＦＴＡ締結後に段階的に下がり２０１４年から賦課されていない。

英国のＥＵ離脱後には少なくとも１０％ほど原価上昇要因が生じるというのが酒類業界の予想だ。無関税の恩恵を継続するためには英国と別途ＦＴＡ締結が必要だ。英国ＥＵ離脱の影響をＱ＆Ａ形式にまとめた。

――英国のＥＵ離脱に備えて韓国と英国はＦＴＡを締結する予定か。

「英国のテリーザ・メイ首相はＥＵと離脱後で別途の貿易協定を締結すると明らかにした。インドなど過去英国の植民国で構成されたコモンウェルス国家をはじめとして、韓国など世界経済で比重がある国々が優先交渉対象だ。チュ・ヒョンファン産業通商資源部長官とリアム・フォックス英国国際通商部長官は昨年末にロンドンで会い、英国ＥＵ離脱後に少なくとも韓ＥＵ間ＦＴＡ水準以上で両国の通商関係を確立することで意見を集約した。ただし、英国がＥＵ会員国である間は他の国とＦＴＡ締結に拍車を加えにくい展望だ」

――英国の入国手続きが難しくなるか。

「現在、韓国人は観光目的などの場合は英国にノービザで３カ月の滞在が可能だ。英国はＥＵ会員国が国境での検問検索やパスポート検査を免除することにした『スェンゲン条約』に加入していない。これに伴い、英国からフランスなどに移動するにはパスポート審査を受けなければならない。英国ＥＵ離脱後もこのような状況は変わらない。ただし、英国がＥＵ離脱後に国境を強化するという立場だから入国審査過程が難しくなる可能性はある。ＥＵ市民権者に対して英国が入国手続きを強化するかは交渉を見守らなければならない」

――英国が移民者数を減らすのに韓国に影響があるだろうか。

「英国ＥＵ離脱賛成派の主な関心事が移民者問題だった。デイヴッド・デイヴィス英国ＥＵ離脱長官は現在年間３３万人規模である移民者を１０万人水準に減らすことができると明らかにした。メイ首相などは移民者が減っても研究や産業分野で優れた人材は十分に受け入れると言ったが、ＥＵ出身者に相対的に門戸をより広くするという展望が多い。アジア圏移民の許容規模が減れば中国などと競争が激しくなる可能性がある」

――英国に住む外国人が受けている国家医療保険（ＮＨＳ）の特典に変化があるだろうか。

「移民者と外国人にまで特典を与えるためにＮＨＳ財政が圧迫を受けるという世論も英国ＥＵ離脱賛成の背景の１つだった。ＥＵ会員国出身者で英国に居住中の彼らは交渉が進められる間、すべての特典をそのまま受ける。英国政府はＥＵ以外の国民に対しては６カ月以上滞在する者にだけＮＨＳの特典を与えている。２０１５年４月からはビザ発行の時に医療保険料を徴収する。外国人が英国に短期滞留時に急に悪化した状況でなければ診療費を先払いで受ける方案も検討中だ」

――英国が商品やサービスにかかる税金や法人税を下げるだろうか。

「英国がＥＵから離脱すれば英国は思い通りに税金体制を変えることができる。周辺国に比べて競争力を確保するために英国が税金を下げるだろうという観測が出ているが英国も税収を心配しなければならない状況であるため見守らなければならない。英国は法人税をすでに２０２０年まで１７％まで下げることにしたが、主要２０カ国（Ｇ２０）の中で最も低い水準だ。メイ首相は法人税の追加引き下げの可能性を示唆している」

――英国プレミアリーグで活動する外国人選手には影響があるだろうか。

「韓国出身の選手には変わりない。ＥＵ出身の選手は現在ＥＵ以外の国家出身者のように球団が就労ビザを取って招請することになるだろう」