１９日午後１時３０分、蔚山市楊亭洞（ウルサンシ・ヤンジョンドン）の現代（ヒョンデ）自動車蔚山工場労働組合（組合員４万８０００人）はこの時刻から２時間の部分ストに突入した。１０分後には昼休みでもないのに自転車に乗ったりリュックサックを背負った労働者らが無表情な顔で工場の正門から出てきた。普段は午前６時４５分に出勤し午後３時３０分に退勤していた１組の労働者らがこの日はストのために２時間早く退勤して起きた風景だ。

この日午後２時、現代自動車工場から５．４キロメートル離れた蔚山市西部洞（ソブドン）の現代重工業造船所。同社の労働組合（組合員１万５０００人）もこの時刻から３時間にわたり構造調整対象である設備支援事業部門（組合員７００人）がストに入った。現代自動車と現代重工業の労働組合のこの日の同時ストは１９９３年の現代グループ労組総連盟による連帯ストライキから２３年ぶりだ。現代自動車は今年が５年連続ストで、現代重工業は３年連続ストだ。

現代自動車労組はこの日午後１時３０分と午後１０時３０分の１組と２組の労働者２万８０００人が２時間ずつ部分ストをし２時間早く仕事を終えた。このため普段は騒音があふれる自動車生産ラインは一斉に止まった。

同社関係者は、「労組が毎日４時間ストライキすると仮定する場合、自動車の生産支障は１７００台余りで、全車種平均価格基準で毎日４００億ウォン相当の損失が発生する」と話した。これに対し現代自動車労組関係者は「使用側の推算は間接的に発生しうる労務費や今後の営業損失予想値まで過度に含めた数値。実際の損失額は２００億ウォン程度だ」と反論した。

現代自動車労組は２２日まで毎日組別に４～６時間ずつ部分ストや全面ストを計画している。現代重工業労組は２０日にも午後に４時間、２２日には午前７時間ストをする。

これに先立ち両労組はこの日午前、現代自動車蔚山工場本館前広場で共同記者会見を行った。彼らは「現代自動車労組は今年の賃金交渉決裂と財閥改革のためで、現代重工業労組は賃金と団体協約交渉に使用側が不誠実に臨んだ上に造船産業構造調整を阻止するため」とスト理由を説明した。

現代自動車労使は５月１７日から１４回にわたり今年の賃金・団体交渉を行ってきた。労使は労組が要求した基本給７．２％の引き上げ（号俸昇級分除き１５万２０５０ウォン）、前年度純利益の３０％の成果給支給、一般・研究職組合員（８０００人）の昇進拒否権、解雇者復職などをめぐり交渉を行っていたが妥協点を見いだすことができなかった。

現代重工業労使は５月１０日に賃金団体交渉の顔合わせに続き１８回交渉した。社外理事推薦権認定、懲戒委員会労使同数構成、前年度定年退職者を含めた退職者数相当の新規社員採用、組合員１００人以上の毎年海外研修、賃金９万６７１２ウォン引き上げ（号俸昇級分別途）、成果年俸制廃止などをめぐり交渉を行ってきたが結論を出せなかった。

両労組は「（使用側が要求を受け入れるまで）スト効果を高めるために連帯ストライキと同時ストが必要だと決定されればいつでもともに闘争するだろう」と主張した。両労組は２０日午後１時に蔚山市の太和江（テファガン）の河川敷で民主労総蔚山本部が主催する労働者大会にともに参加する計画で今回の同時ストの分水嶺になる見通しだ。

同日大宇造船海洋とサムスン重工業労働者協議会など８つの事業所が所属する造船労働組合連帯も構造調整に反対し各事業所などで同調ストをする予定だ。

蔚山の経済・市民・社会団体で構成された「幸福都市蔚山作り汎市民協議会」は１９日、「米デトロイトの破産やスウェーデンのマルメの涙という前轍を踏まないためにも現代自動車と現代重工業はストを止め危機克服に全身全力を尽くしてほしい」と訴えた。蔚山市のキム・ギヒョン市長は「（ストは）労使の自律領域だが全体的に影響を及ぼす場合には仲裁に出るほかない」と話した。ソウル大学行政大学院のホン・ジュンヒョン教授は「労使が一歩ずつ譲歩し可能な条件を交渉テーブルに載せて妥協しなければならない」と指摘した。