近隣のカフェの周辺には数十個の銃弾の跡が鮮烈に残っていた。ここで５人が亡くなった。１０歳ほどの子供がうずくまって座ってはキャンドルの火が消えればすぐにそばのキャンドルをもって再び火をつけることを繰り返していた。熱いはずなのに、そんなことは関係ないというふうだった。テロ犯の殺意と、子供の使命感の対比は違和感があったが現実的だった。パリ市民のマリオンさんは「私の街を見て、私の近所を見て、身内の人たちを見て生きていることを感じたかった。私たちは戦う。フランスも戦う」と語った。

そこから歩いて５分余りのバー「ル・カリオン」に到着した。１５人が亡くなった場所だ。弾丸の穴には花が差し込んであった。近所の住民ジュリアートさんは「ここは本当に特別なものはない地域だ。ただ普通の人々が暮らしていたのに。何の象徴性もない。どこででも起きたことかもしれなかった」と話した。誰でもテロ対象になりうるという不安感だった。ジュリアートさんは「今日の昼間、誰かにタバコの火を借りようとしたら『本当にすみません、ありません。ごめんなさい』と言っていた。珍しいことではなかったのに本当にすまないと思った。『何の話だよ、あなたが謝ることではない』といった。誰もが罪の意識を感じている。おかしな感情だ。共にいるという感じでもある」と語った。

実際、共感と連帯を体感する瞬間が続いた。当局の献血の要請に３時間も列をつくって血を提供した人が多かった。ジョハンナ・ナジャルさんは「一度も献血したことがなかった。しかし今回は今度は悩まずに来た」と話した。

ＩＳは１４日、公式インターネットの宣伝メディアに掲載したアラビア語とフランス語の声明で「８人の兄弟が十字軍フランスの首都を攻撃した」として自分たちの仕業だと明らかにした。

テロ直後、国家非常事態を宣言したフランスは１４日から３日間を犠牲者のための哀悼期間に決め、国家安保態勢を最上位級に上げた。国境の検問を強化し、学校やエッフェル塔など主な観光施設などが閉鎖し、スポーツ競技も全て中止した。追加テロの憂慮からだ。米国連邦捜査局（ＦＢＩ）もパリに要員を派遣してテロ情報収集に乗り出した。

ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ラロジョ・コーエン氏は１４日のコラムで「パリを救うためにはＩＳを排除しろ。人類の名でＩＳに報復しなければならない」と強調した。


＜仏テロ＞テロでも「３色精神」は消えず（１）