【コラム】北朝鮮はサイバー能力を持ち決定的瞬間を待つ(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.09.07 11:22
007の映画よりもさらにスリルのある話は冷戦の絶頂期にさかのぼる。1981年7月、カナダのオタワで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議で米大統領ロナルド・レーガンはフランス大統領フランソワ・ミッテランから驚くべき情報を得る。フランスの情報機関がソ連の諜報機関KGB幹部を抱き込んだ、ウラジミール・ペトロフというKGB幹部はソ連がシベリアのウレンゴイ→カザフスタン→東欧→西欧につながるガスパイプライン建設に必要なソフトウェアをカナダから盗もうと血眼になっていると告白したという内容だった。そのプロジェクトはソ連共産党長書記長レオニード・ブレジネフの息子ユーリの独占事業だった。
レーガンは米中央情報局(CIA)に指示し、カナダのソフトウェア会社に、ソ連が望むソフトウェアをKGB要員にそっと流させた。そのソフトウェアはガスパイプラインのポンプ、タービン、バルブを動かすのに必要なものだ。米国とカナダのサイバー要員はソ連に盗まれたソフトウェアに一定期間が過ぎた後に作動する悪性コードを仕込んでいた。「論理爆弾」と呼ばれるトロイの木馬だ。
翌年シベリアで大爆発が起きた。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は小型核兵器が爆発したと思った。米空軍はその爆発力を3キロトンと推定した。しかしおかしなことに核爆発に当然ともなう電磁波は核実験監視衛星に捕捉されなかった。レーガンはソ連とのデタントを主張する安保ラインの主要人物をこの秘密作戦の議論から排除しており、シベリア大爆発の正体を知っている人は多くなかった。