しかし、あえてここに珊瑚礁を移植する内心は別にある。ＦＴは「珊瑚が育って海水面上にそびえれば、中国の人工島とは違い『自然的に造成された島』だと日本政府が主張する可能性がある」と伝えた。

本当に島とみなされれば排他的経済水域（ＥＥＺ）の基準点と認めてもらうのに役立つ。日本政府は沖ノ鳥島を基準にＥＥＺを描いているが、中国などが「島ではなく暗礁に過ぎない」と反発して国際的に完全に認められずにいる。

◆中太平洋進出の遮断目的

日本がこの一帯をＥＥＺと認めてもらえば大陸棚に埋まっているガス資源などを発掘できる。また別の目的は、沖ノ鳥島を中国の軍事行動を牽制できる戦略的要衝地として活用しようとするものだ。

ＦＴは戦略専門家たちの発言を通じて、中国と米国が戦争を行うと仮定すれば「２つの線」が中国の太平洋進出を防ぐと分析した。１つは日本本土～沖縄～台湾を結ぶ線で、もう１つは沖ノ鳥島～グアム（米国領）を結ぶ線だ。２線の間を曲芸のように抜け出るのはかなり難しい。衝突が起きるとすればこの間で、沖ノ鳥島の占有権をめぐって起きる可能性が高い。

退役海将である岡崎研究所の金田秀昭副所長は、ＦＴに「沖ノ鳥島は（中国との紛争時に）中国軍が東側からの支援兵力を期待させにくい要衝地で、中国の原子力潜水艦が太平洋に出て行ける道の要所にある」と説明した。

沖ノ鳥島が島だと主張するのはこじつけ的な性格が強いという指摘だ。日本でも「沖ノ鳥島を島だと主張しなければ中国の南沙諸島の人工島が不法だと言える」という話が出る。だがＦＴは、沖ノ鳥島の軍事的価値を見る時に日本がこうした主張を受け入れる可能性は薄いと伝えた。


人工島「沖ノ鳥島」復元加速する日本…中国と海洋領土争い（１）