メディアを敵にするな

最悪の危機管理失敗事例に挙げられたもののひとつは、エクソン・バルデス号のアラスカ海上汚染事故だ。失敗の裏にはメディアを極めて嫌った最高経営者が存在した。８９年３月２４日、原油貨物船エクソン・バルデス号はアラスカ油田で採掘した原油を積んでカリフォルニアに南進し、障害物にぶつかった。この事故で原油２５万バレルが流出し、アラスカの海域が汚染した。このとき、米国５大企業であるエクソンの会長はローレンス・ロール氏。彼は普段マスコミを避けなければならない対象と考えており、報道関係者を極度に嫌った。事件発生後、エクソン本社は会長が忙しいという理由で記者会見を拒否した。また事件を子会社であるエクソン船舶の責任に しようとした。エクソン船舶の最高経営者が事故現場を訪問したのは事故後、１週間たってからだった。以後、ロール会長が急に考えを変えてテレビ出演した。記者の最初の質問は、原油除去計画に関することだった。ロール会長はこう返事した。「機械的なこまごました計画をいちいちすべて検討することは世界的な大企業の会長がすべきことではない」。これは火に油を注ぐ瞬間だった。事故が起こってから２週間が経って彼が現場を訪問したが、その事実を知る報道関係者はなかった。誰にも知らせなかったのだ。この事件のもたらした結果は惨憺たるものだった。エクソンは罰金と浄化費用、売上げ減少などにより最低７０億ドル以上損失した。

危機状況でメディアを管理する最上の方法は、正確な情報を十分に提供することだ。昨年夏に発生した三星電子半導体工場の停電事故は、こうした側面で成功的な危機管理事例として挙げることができる。三星は事件発生時から終結まで毎時間単位で報道資料を配布した。同社広報室シム・ジェブ部長は「事故初期には弊社の言葉を信じなかった報道関係者らも時間がたつほど信頼を見せてくれてくれるようになった」と話した。

→③へ続く



“危機管理”失敗した農心と東遠Ｆ＆Ｂ…①
“危機管理”失敗した農心と東遠Ｆ＆Ｂ…②
“危機管理”失敗した農心と東遠Ｆ＆Ｂ…③