イランのイスラエル本土空襲に対するイスラエルの報復措置の可能性が浮上し、アラブ国家は第５次中東戦争に拡大しないか恐れている。アラブ国家は紛争拡大を防ぐため米国とイランの間でどのような立場を取るべきか頭を悩ませている。

１４日（現地時間）のニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）によると、アラブ首長国連邦（ＵＡＥ）・オマーン・エジプト・ヨルダンなど多数のアラブ国家が昨年１０月のイスラエルとハマスの戦争以降、紛争拡大を防ぐために仲裁努力をしたが、１３日のイランによるイスラエル空襲で中東地域で衝突の危険が高まっている。

国際危機グループの中東責任者ヨースト・ヒルターマン氏は「現在のところ米国とイランが紛争拡大を避けようとしているのが唯一の対抗力」と指摘した。アラブ国家は米国からより多くの参加と安保保障を要求するべきか、それともイランの攻撃を避けるために距離を置くべきか悩んでいると、ＮＹＴは伝えた。

特に米国の中東内の主要同盟国ヨルダンは１３日のイランのイスラエル本土空襲で、自国を通過してイスラエルに向かうミサイル・ドローンの一部を撃墜した。ヨルダン政府は声明で「わが国民と住居・人口密集地域の安全を脅かすのを防ぐために撃墜した」と明らかにした。

しかしイラン国防省は「イスラエルに領空を開放する国はすべて標的になるだろう」と警告した。イスラエルを支援する周辺国も攻撃する可能性があるというメッセージであり、ヨルダンを政治的にも大衆的にも当惑させたと、ワシントンポスト（ＷＰ）は伝えた。

実際、ヨルダン国内では反発があった。ソーシャルメディア（ＳＮＳ）には、ヨルダンのアブドッラー２世国王がイスラエルの軍服を着ている合成写真などが登場した。ヨルダンはエジプトと共にアラブ圏では珍しくイスラエルと公式的な外交関係を結んでいるが、パレスチナ系の国民が過半を占めていて、最近は反イスラエルデモが激しかった。

こうした中、政府がイスラエルに好意を見せると、一部から不満が出てきた。ＷＰは「ヨルダン政府はイランのミサイル・ドローン撃墜で大衆の激しい怒りに直面する可能性がある」と伝えた。

ヨルダンの事例を通じて、アラブ国家はまず緊張が高まらないよう外交的解決策の準備に注力するとみられる。ＮＹＴは「多くのアラブ国家が昨年１１月に会議を開き、紛争拡大防止のために自国の影響力を最大限活用する案を議論し、カタール・オマーンなどはガザ地区の停戦に向けてイランと米国の外交的努力を引き出した」とし「アラブ圏で外交的解決に参加しようとする動きが増えている」と伝えた。

ただ、専門家らはイランのイスラエル本土空襲以降、両国間の仲裁の役割がより一層難しくなったと診断した。中東研究所のランダ・スリム研究員は「今はもう規則とレッドライン（限界線）が変わった」とし「今後どのアラブ国家が仲介者、交渉家の役割を果たせるかは未知数」と指摘した。

一方、イランの今回の攻撃で、各国の航空会社が欧州とアジアを結ぶ航空機の運航をキャンセルまたは航路変更するなど支障が生じたと、ロイター通信が１５日報じた。１３日夜から２日間、カンタス航空、ルフトハンザ、エアインディア、ユナイテッド航空など少なくとも航空１２社が運航をキャンセルまたは路線変更をした。欧州－アジア航空便は普通、イランの領空を通過する。

今回の事態は２００１年９月１１日の米ニューヨークの世界貿易センター（ＷＴＣ）攻撃以降、航空機の運航において単一事件では最も大きな混乱だったと、航空諮問グループのＯＰＳＧＲＯＵＰが伝えた。