【時視各角】イエレンの苦悩と主流経済学の危機=韓国(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.09.21 09:25
「イエレン・プット」。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の小心さを皮肉る言葉だ。プットオプションは将来の特定時点にあらかじめ定めた価格で資産を売ることができる権利をいう。資産価格暴落を避ける防御武器だ。今回こそ金利を上げるかのようにいっぱい脅かしながら国際金融市場が揺れ動くとすぐに尻尾を下ろしたイエレンをプットオプションに例えたものだ。FRBが金利引き上げを見送った理由として、中国のハードランディングと新興市場危機を挙げたところにもイエレンの苦悩がにじみ出る。しかしFRBを震えさせた原因は別にある。7年にわたり底を這う米国の物価だ。これは新古典派主流経済学の悩みでもある。
これまで主流経済学は悲運の経済学者アービング・フィッシャーが整理した交換方程式をあがめてきた。「M(通貨量)XV(貨幣流通速度)=P(物価)XQ(総支出量)」がそれだ。すべての取り引きがお金で行われる貨幣経済では「二丁拳銃は2丁」という言葉と代わらない。ところが貨幣の流通速度Vは慣習の支配を受ける。あまり変わらない。総支出量Qもやはり経済の基礎体力を反映するので短期間には調整が難しい。それならMとPだけが残る。金融を緩めれば物価が上がり金融を引き締めれば物価が落ちるという「貨幣数量説」はここから出た。景気が停滞するたびにFRBがドルを刷ったのは貨幣数量説に対する固い信頼からだ。