１９５３年に設立された駐韓米国商工会議所（ＡＭＣＨＡＭ）が今年、還暦を迎えた。 その間、両国の経済関係発展のための多くの成果があったが、中でも韓米ＦＴＡが最高の成果だった。

まず、韓米ＦＴＡは関税の緩和を通じて、輸出増大および雇用創出に寄与する。 韓国関税庁によると、ＦＴＡ発効直後から２０１２年末まで、韓国譲許関税品目の対米輸出は前年同期比８．１％増えた半面、譲許関税除外品目の輸出は２．８％減少した。 消費者はさまざまな品目を適正価格で消費でき、これは物価の安定にも寄与する。

韓米ＦＴＡのメリットは関税の緩和だけではない。 「ゴールドスタンダード」（最適の基準）と呼ばれる韓米ＦＴＡは、規制の透明性および知的財産権の強化など包括的な制度先進化の内容を含む。 韓国の指導者が韓米ＦＴＡを含むＦＴＡ戦略を推進したのも、これを通じて国内の制度と慣行の先進化を加速させ、対韓投資の魅力も向上するという長期的な視点があったからだ。

韓国指導者の先見の明で韓米ＦＴＡに署名したことで、世界に「韓国は外国人が投資しやすい環境」というメッセージを与えた。 この１年間、対韓投資を考慮する米国企業からの問い合わせが増え、対韓投資の関心が急増したことを実感した。

これとともに世界３大経済圏とのＦＴＡ締結で“ＦＴＡハブ”としての魅力が高まり、第３国からの投資増加とこれに伴う高水準の雇用創出も期待できる。 知識経済部によると、２０１２年の外国人の対韓直接投資（到着基準）は前年比５７．８％増の１０４億ドル、米国の対韓直接投資は前年比１８１．２％増の１２億ドルだった。

韓米ＦＴＡは韓国を革新中心の経済にするうえでも役立つ。 朴槿恵（パク・クネ）大統領が強調するように、革新は競争力がある中小企業の育成につながる。 企業が画期的なアイデアを成功的に商品化する「革新を奨励する雰囲気」が重要だが、ここには２つの前提条件がある。 革新に対する十分な見返りと革新を支援する政府政策だ。 韓米ＦＴＡがこうした点でどう寄与するのか。

まず、韓米ＦＴＡは革新に対する適切な見返りと知的財産権の保護を含む。 この条件が満たされる時、革新企業が公正に競争し、知的財産権の保護の下でＲ＆Ｄに持続的に投資できる。 外国企業はＲ＆Ｄセンターを国内に誘致するはずで、国内外企業間のパートナーシップも増える。

２つ目、政策決定の透明性が強調された。 特に、政策の考案段階から発効まで、すべての利害関係者の意見提出機会を明示する。 さまざまな意見をまとめるのに多くの時間と努力が必要だが、これを通じて意図せぬ副作用を予防できる。 ＡＭＣＨＡＭはこの６０年間、「漢江の奇跡」に一助し、韓国のパートナーだったことを誇りに思っている。 韓米ＦＴＡは両国の政治的・軍事的同盟関係とともに経済同盟の“３つ目の柱”になるはずだ。

エイミー・ジャクソン駐韓米国商工会議所代表