昨年、米国・ニューヨークに登場した1個175ドルのハンバーガーに使用された牛肉は、米国産やフランス産ではなく和牛だった。神戸産和牛はハンバーガーに挟まれたフランス産の松露、フォアグラ、グリュイエールチーズとともに世界では高級食材だ。筋肉内脂肪(マーブリング)をまんべんなく広げるために飼育者が牛をマッサージし、ストレスを与えないように音楽も聞かせている。血統や遺伝子の管理も行っている。
日本では神戸和牛のように、各地域を代表する食材のブランドがある。1990年代から、地域の特産物である神戸和牛、北海道産の天然シャケ、新潟産コシヒカリなどが世界的なブランドに成長することで、日本の農水産物の国際競争力を高めた。2000年代に入り、農林水産省や日本貿易振興機構(JETRO)、地方自治体などが「日本食の世界化」を前面に掲げ、農水産物の輸出を本格的に開始した。日本食の高級化を図るために、食材を高級ブランドに育成する戦略も立てた。