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【コラム】「日本スパイ」容疑晴れた脱北エリート…「履き古した草履を捨てるよう」(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.07.26 17:40
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脱北エリートのイ・ユンゴル博士(51)のスパイ容疑が晴れた。ちょうど1年前に「寝耳に水」のように押収捜索を受け拘束されたイ博士は24日、ソウル高裁刑事第1部(チョン・ジュニョン部長判事)で無罪判決を受けた。イ博士に国家情報院と検察がかけた容疑は軍事機密保護法違反。特に敏感な対北朝鮮情報を日本側に渡したという容疑はイ博士を破廉恥な犯罪者にし、一部の脱北者のグループではイ博士に「大韓民国を裏切った人物」という烙印を押した。対北朝鮮情報力収集・分析能力が優れたイ博士の助けを受けてきた国家情報機関や研究機関の関係者は背を向けた。

1月に拘束された状態で行われた1審裁判では、イ博士は懲役2年、執行猶予3年を受けた。しかし、半年後に開かれた控訴審は無罪を宣告した。「(日本に渡したという資料が)イ氏の立場では普段から扱っていた北朝鮮の情報に過ぎない」というのが判決要旨だ。平凡な北朝鮮関連資料がどうして「国家機密」に変身したのか。なぜ検察は無理に押し進めるしかなかったのか。対北朝鮮情報機関が沈黙している理由は何だろうか。疑わしいことが1つや2つではない。イ博士に何が起こったのか一部始終を聞いてみた。

 
「この1年は悪夢の連続だった。大韓民国のために昼夜を問わず奔走したのに、こうやって終わるんだなあという絶望感が大きかった」

イ・ユンゴル博士は裁判で無罪判決を受け心が軽くなったというより、どうしてこのような事態が大韓民国で起こりえたのか分からないという戸惑いが大きく見えた。イ博士は2005年に入国した後、統一部など韓国政府当局と国家情報院・国軍情報司令部などの対北朝鮮の情報機関と協力し北朝鮮情報収集や分析などの業務を担ってきた。統一研究院の世宗(セジョン)研究所など有力研究機関の客員研究員を務め、共同プロジェクトも進めた。

国家情報機関の斡旋で日本大使館の武官部に北朝鮮関連資料と分析レポートを定期的に提供し研究費も受けた。この過程はイ博士が設立した北朝鮮戦略情報サービスセンターの名前で行われた。ところが、1日にしてすべての行為が「国家機密漏えい」であり国家背信行為とみなされ、拘束起訴という状況を迎えた。

国家情報院と検察の無理な主張は国軍情報司令部の前・現職幹部の軍事機密隠匿捜査過程で始まった。情報司令部工作チーム長だったファン氏(59)は2013年から昨年1月までコンピューターのモニター画面を携帯電話で撮影する手法で軍事機密160件を収集し退職したホン氏(67)に横流しした。ファン氏はその対価としてホン氏から670万ウォン(現レートで約61万円)余りを受け取った。ホン氏は入手した機密の一部を日本や中国など在韓外国公館の武官や情報要員にお金をもらい売り渡したことが分かった。この2人は24日に裁判でそれぞれ懲役4年の実刑が宣告された。裁判所は「外国に派遣された情報館の個人情報を外国の情報機関に伝達した行為は情報司令部だけでなく大韓民国に対する裏切り行為」と判決した。言い訳の余地がないということだ。

事態は捜査当局がイ・ユンゴル博士をはじめとするいくつかの脱北者をこの事件と関連付けたため起こった。情報司令部要員のホン氏が日頃交流のあったイ博士のオフィスに立ち寄り、対北朝鮮情報資料の中で使えそうなものを持っていき、時にはそこにあったコンピューターを用いて情報報告書の作成作業までしたことを問題視したのだ。検察はオフィスの押収捜索の過程で確保したコンピューターと外付けハードディスクに情報司令部が生成した文書63件発見され、ホン氏と電子メールを交わした情況などを根拠に軍事機密保護法違反の疑いを適用した。イ博士は「北朝鮮内部や中国などの知人との情報源から入手した北朝鮮の内部動向資料を情報司令部要員が持っていき秘密文書を作ったが、その情報を所持していたという理由で私がスパイだと追い込むとは、とんでもないことではないか」と抗弁したが、無駄だった。検察はイ博士の他、脱北エリートグループのA氏と団体長B氏などを起訴しようとしたが明確な嫌疑が確認できなかったため訴状で言及するレベルに留めた。

何よりもイ博士が耐え難かったのは国家情報院と検察が「日本からお金を受け取り国家機密を売り渡した人物」としたことだ。イ博士は国軍機務司令部の軍務員の紹介で2011年頃から日本武官部側に北朝鮮関連情報を定期的に提供し、その業務実行費用を受け取った。6年間、日本関係に諮問したのは約140回で、諜報件数では約1000件程に及ぶ。その対価として受け取った金額は月に100万ウォン程度だ。


【コラム】「日本スパイ」容疑晴れた脱北エリート…「履き古떂た草履を捨てるよう」(2)

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    【コラム】「日本スパイ」容疑晴れた脱北エリート…「履き古した草履を捨てるよう」(1)

    2019.07.26 17:40
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    北朝鮮船舶の清流1号が昨年5月16日、中国・丹東東江地域の海上で中国のテンダーボートから油類を密かに受け取る様子。イ・ユンゴル博士が北朝鮮内部の協力者から入手し、情報当局に提供した。[写真 イ・ユンゴル]
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