【時視各角】米国の自動車関税予告、韓国は「通商死守」の覚悟があるのか
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.05.31 16:00
李洛淵(イ・ナギョン)首相が内閣改造の話に触れ、官界がざわついている。すでに噂が立っている。実績を出せず交代が確実視されるという長官のリストが流れ出ている。金鉉宗(キム・ヒョンジョン)通商交渉本部長はリストに入っていないが、それでも成績が良いとはいえない。通商は戦争だ。金鉉宗本部長が今後もこの程度の実力しか見せられなければ、政権にも大きな負担となる恐れがある。なぜか。
通商問題が韓国経済の死活がかかるほど深刻になったというのが最初だ。トランプ大統領の保護貿易と中国の習近平主席の報復貿易に最も大きな被害を受けたのが韓国だ。韓国の通商はこれに対応できなかった。韓国のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備に対する中国の報復には世界貿易機関(WTO)提訴もできず、米国がWTO規定に反して進めた鉄鋼クオータを最初に受け入れた。「叩くほど叩かれる韓国」という悪い先例だけを残したのだ。今後がさらに問題だ。両首脳の任期はまだ長い。トランプ大統領は長ければ6年、習近平主席はそれよりも長く権力の座を守る可能性が高い。2人は任期中ずっと「叩きやすい」韓国を叩き続けるだろう。まともに対処できなければ輸出で生きる韓国経済が壊滅的な打撃を受けることになる。
目の前の問題は自動車だ。先週トランプ大統領はロス商務長官に対し、輸入自動車・部品への通商拡大法232条適用を検討するよう指示した。米国政府は最大25%の関税適用を検討している。これが現実になれば韓国経済には災難だ。昨年の対米貿易黒字は180億ドルだった。このうち自動車と自動車部品の黒字が181億ドル。自動車がふさがれば対米貿易はすぐに赤字になるということだ。韓米自由貿易協定(FTA)を維持する理由がないほどだ。それだけではない。国内自動車産業の基盤が根本から崩れる可能性がある。GM撤収などとは比較にならない深刻な雇用問題が発生するかもしれない。まだ時間はある。鉄鋼は通商拡大法の発動からトランプ大統領の決裁まで11カ月かかった。米国のターゲットは韓国ではなく日本やドイツという、希望を帯びた観測もある。しかし相手はトランプ大統領だ。政治的な利害によっていつでも韓国を犠牲にする可能性がある。金鉉宗本部長は「通商死守」に職をかけなければいけない。