【時視各角】偽ニュースは刑罰で消えない=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.10.08 16:57
李洛淵(イ・ナギョン)首相が厳しい表情で「国家元首に関するとんでもない偽(フェイク)ニュースまで出回っている。既存の態勢では統制が難しい」として「検察と警察が迅速に捜査して厳正に処罰せよ」(10月2日閣僚会議)との発言は低級な対策だ。メディアは権力で統制できる領域でない。李洛淵は軍事独裁政権の際、青年学生時代を送り、権力の言論弾圧に対抗した東亜(ドンア)日報記者出身だ。彼の口からニュースを力で治めるという話が出るとは思わなかった。ニュースはニュース市場で真偽が判別され、虚偽とねつ造は読者が審判するという理性と良心に対する信頼が崩れたのだろうか。権力の席に上がると刃物がペンより強いという傲慢ができたのだろうか。理性的論争が働くべきニュースの世界に権力の猟犬と言われる刑罰執行者を招請した首相の発言を理解することはできない。
知識と情報の領域では真実性を判別する基準として論理性・一貫性・公正性3つを挙げる。人間の理性と良心に照らして①前提に合う結論を下したか(論理性)②同じ基準の適用が貫かれたか(一貫性)③先入観や意図性が排除されたか(公正性)を確かめるだけでも概して知的生産物の真偽は見分けられる。李首相はニュースの真実性の判定に処罰を指示するより、論理性・一貫性・公正性のような知的資産の活用を呼びかけるべきだった。