今週は「北核ビッグウィーク」だ。国連総会が開催されるニューヨークでだ。韓国の文在寅（ムン・ジェイン）大統領と米国のトランプ大統領の基調演説（現地時間２４日）、韓米首脳会談（現地時間２３日）などで出るメッセージは、近いうちに始まる米朝間実務交渉に影響を及ぼすとみられる。

北朝鮮は先制メッセージを出した。北朝鮮外務省の金明吉（キム・ミョンギル）巡回大使は２０日、トランプ大統領が１８日（現地時間）に「新たな方法」に言及したことについて談話を出し、「より実用的な観点で朝米関係に接近すべきというトランプ大統領の賢明な政治的決断を歓迎する」と述べた。自らを米朝実務交渉首席代表と明らかにした金明吉氏は「トランプ大統領特有の政治感覚と気質の発現」とも語った。米国の譲歩を得るのなら、結局はトランプ大統領との談判が最も良い方法という計算があると分析する。ウ・ジョンヨプ世宗研究所米国研究所長は「実務交渉が難航した時、『トランプ大統領の新たな方法を受け入れない硬直した官僚のため』と述べ、結局は首脳会談でのみ問題を解決できるという論理を立てようとするだろう」と述べた。

実際、朝鮮新報は１２日、「朝米実務交渉は首脳会談で署名することになる合意文に盛り込む内容を議論して調整する過程」とし、実務交渉を３回目の米朝首脳会談の事前準備段階として既成事実化した。

トランプ大統領もこれに呼応するように２０日（現地時間）、ホワイトハウスで「過去３年間にこの国に生じた最も良いことは、私が金正恩（キム・ジョンウン）委員長と非常に良い関係を結んでいることだ」と述べた。しかしトランプ大統領の「新たな方法」発言の脈絡をみると、北朝鮮の要求を受け入れたものと見なせるかは疑問だ。

トランプ大統領は更迭されたジョン・ボルトン前大統領補佐官（国家安全保障問題担当）が米朝交渉は失敗すると述べたことに関し、「ボルトンがリビア（非核化）モデルを話した時、我々は大きく後退した」とし「ジョンは過去にそれがどれほど良くない結果をもたらしたかを考えるべきだった。そしておそらく新たな方法が非常に良い結果をもたらす可能性がある」と述べた。続いて「多くの声が出ている中で（新たな方法は）おそらく非常に強力な攻撃であるかもしれない。我々はは今までこうした強い軍隊を持ったことがない」と語った。突然の軍事オプションだった。

ところが北朝鮮は「朝米双方がお互い信頼を築いて実現可能になることから一つずつ段階的に解決していくことが最上の選択という趣旨でないかと考える」（２０日の金明吉氏の談話）と解釈した。２月の２回目の米朝首脳会談で「ハノイノーディール」の原因となった「スモールディール」主張をまたしたということだ。

時期的に国連ビッグウィークで韓米首脳が出すメッセージを考慮した側面もある。トランプ大統領に対しては国連舞台で世界を相手に新たな方法についてより具体的な考えを明らかにすることを、文大統領に対しては韓米首脳会談で北朝鮮が望む体制の安全の保証などについてトランプ大統領を最大限説得すべきという圧力だ。

北朝鮮の崔善姫（チェ・ソンヒ）第１外務次官が実務交渉開始時期として言及した９月末が迫っているが、日程と場所はまだ決定していないという。北朝鮮はトランプ大統領の国連総会のメッセージまで眺めた後、実務交渉日程などを出す可能性が高い。