【時視各角】韓半島の門外漢、北核を扱ってもいいのか

【時視各角】韓半島の門外漢、北核を扱ってもいいのか

2018年09月04日14時28分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  2014年7月、韓米自由貿易協定(FTA)を俎上に載せててメッタ切りにした米国上院公聴会。この場にはフォード自動車の副社長が業界を代表して登場した。彼は「2年前の韓米FTA再協議で米国車に対する輸入規制がなくなると非関税障壁が導入された」として韓国政府を厳しく批判した。この時だけではなかった。彼は自動車紛争が起きるたびに韓国を猛非難する常連攻撃手だった。2011年には「韓国に自由貿易の原則とは何かを気づかせるために、米政権は強制措置を講じられるようにするべきだ」と求めたのも彼だった。

  さあ、これは誰だろうか。彼こそが先月末に米朝交渉窓口に任命されたスティーブ・ビーガン北朝鮮担当特別代表だ。フォード自動車で官僚交渉窓口業務を担当していたビーガンは、14年間フォードのために韓国など外国政府を批判してきた人物だ。議会と政府で外交を扱ったとはいうものの、韓半島(朝鮮半島)とは無関係のロシア専門家だ。

  これに比べてジョセフ・ユン、ソン・キム、グリン・デービース、スティーブン・ボズワースら4名の前任者は皆、韓半島問題に精通していた専門家だった。このため「ビーガンは不適任者」との声が出てこないはずがない。これだけではない。今年初めには、北朝鮮専門家であるジョージタウン大学教授のビクター・チャが米大使として韓国に来るように思われたが、ハリー・ハリス前太平洋司令官がこの席を占めた。門外漢が集まっているような雰囲気だ。

  こうした中、先月末、米国の外交・安保ジャーナル「Foreign Affairs(フォーリン・アフェアーズ)」には、にわかには信じがたい記事が掲載された。「北朝鮮の核プログラムはどこにも行かない」というタイトルのコラムで「北朝鮮をインドのような責任ある核保有国にしよう」というのが結論だった。今年7月、ワシントン・ポスト(WP)にも似たようなコラムが載せられた。「トランプは核保有国・北朝鮮と共存していく方法を学ばなくてはならない」というのがこのコラムの柱だった。

  最近のこのような現象は黙って見過ごしてもいいようなことではない。「北朝鮮核保有国認定論」が米主流社会で徐々に注目されていることを示す証拠だからだ。

  少なくない進歩学者は「北朝鮮は核を使わないだろうし、特に同じ民族が住んでいる南側は絶対に攻撃しないだろう」と大言壮語する。核は米国を狙ったもので、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を作ったのがその証拠だという論理を展開する。北朝鮮の主張そのままだ。国民感情から見るとこのような主張も無理はない。昨年10月、ギャラップの調査によると、韓国人の59%は「北朝鮮は核兵器を使わないだろう」と答えた。

  だが、果たしてそうだろうか。専門家の判断は暗鬱なことこの上ない。先日、講演会場で会った前駐英北朝鮮公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏に「金正恩が南側に向かって核ミサイルを撃つ可能性があるか」と聞いたことがある。

  すると「可能性は充分にある」という返事が返ってきた。「北朝鮮で政権転覆のための民主化運動が起きて南側がこれを助長すれば金正恩(キム・ジョンウン)が核爆弾を使う公算が大きい」ということだった。「叔母の夫も殺す暴悪な性格なのに、何もせずに死ぬと思うか」ということだった。

  現状は北朝鮮が狙ったとおり、北朝鮮の核保有国認定側に傾いていく雰囲気だ。「具体的な非核化措置なしに終戦宣言はない」という米国のトーンが変わった。今は「いつまで核・ミサイルリストと非核化スケジュールを出すと約束すれば終戦宣言を検討してもいい」として完全に後退した。

  トランプ政府がいつでも韓半島問題から手を引く危険は高まった。米国の国益だけに関心がある北朝鮮門外漢が外交分野の要職を占めるようになったためだ。当面では、韓国産自動車の攻撃に没頭していたビーガン特別代表が、老獪な北側要人を相手にまともに渡り合えるのか心配だ。このような時に、文在寅(ムン・ジェイン)政府は米国が引き留めるのも振り払って、北朝鮮との交流を増大させることに気を遣っている。北朝鮮の非核化はますます水泡に帰しかねない局面だ。

  ナム・ジョンホ/論説委員
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