【コラム】人が優先という国、なぜ南北首脳会談に人権がないのか(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.04.20 10:49
豆満江(ドゥマンガン)の氷水を胸で押しながら父は来た。娘はペンチで国境の鉄条網を切った。娘の手を握った父はその時ようやくビニールに入れて口にくわえていた毒薬を吐き出した。保衛省に捕まればこれをかむつもりだったのだ。
「もう助かったと思っていた。私はソウルに来て、父はブローカーについて第3国(中国からソウルに来る経由国)に行った。国境付近で中国公安に逮捕されたという連絡があり、その後は生死が分からない。10歳の時に母が亡くなり、自分たちを捨てず苦労して育ててくれた父のことを毎日心配している」。
6年前、生活のために脱北した29歳のキム・ジュヨンさん(仮名)のことだ。順に脱北した3人の兄弟がお金を貯め、ブローカーを通じて父を韓国に呼んで起こったことだった。家族が強制送還されて処刑され、一人だけ残った脱北同僚を見ながら、彼女は14カ月間、毎日のように青瓦台(チョンワデ、大統領府)・国会・外交部・統一部・中国大使館を訪れた。