<Mr.ミリタリー>武装解除レベルの苦肉の策、南北軍事合意に隠れた危険(1)

<Mr.ミリタリー>武装解除レベルの苦肉の策、南北軍事合意に隠れた危険(1)

2018年09月21日13時34分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  平壌(ピョンヤン)首脳会談での南北軍事合意は緊張緩和に向けた一歩だが、危険性もはらんでいる。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は軍事合意書を「実質的な終戦宣言」と評価した。軍事衝突を防ぐ努力は確かに重要だ。しかし軍備統制は信頼の構築が必須となる。信頼の構築なく平和協定や講和条約を締結して不覚を取った事例は少なくない。ベトナムのパリ平和協定(1973年)、英国のチェンバレン首相とドイツのヒトラーのミュンヘン協定(1938)がそうだった。ベトナムは崩壊し、ドイツは第2次世界大戦を起こした。今後、徹底的な検証と対応が要求される。

  電撃的に出てきた南北軍事合意は▼地上・海上・空中敵対行為の中止▼非武装地帯のGP(監視哨所)撤収▼JSA(板門店共同警備区域)の非武装化▼共同遺骨発掘▼漢江(ハンガン)河口の共同利用--など計7分野だ。合意書は宋永武(ソン・ヨンム)国防部長官と北朝鮮人民武力相の努光鉄(ノ・グァンチョル)大将が署名した。南北はこの合意のために7月末から9月中旬まで将官級軍事会談と大佐級軍事実務者会談、通信実務者会談を行ってきた。協議は迅速に進行した。そのためか国会報告や国民向けの説明はなかった。

  軍事合意のうち地上敵対行為の中止は、軍事境界線(MDL)を基準に南北がそれぞれ5キロずつ緩衝地帯を設定するものだ。両区域で砲兵射撃訓練と連帯級以上の野外機動訓練を中止することにした。国防部によると、野外機動訓練は5キロ外で主に行われていて軍事対応態勢に大きな問題はないという。しかし海上敵対行為の中止は懸念される。合意によると、西海(ソヘ、黄海)は仁川(インチョン)沖の徳積島(ドクジョクド)から北朝鮮の大同江(テドンガン)河口の椒島(チョド)まで、東海(トンヘ、日本名・日本海)は束草(ソクチョ)から北朝鮮の通川(トンチョン)までを緩衝水域に定め、この水域で砲兵・艦砲射撃と海上機動訓練を中止するというものだ。ところが西海は北方限界線(NLL)を基準に南北直線で徳積島まで85キロだが、北朝鮮の椒島までは50キロだ。東海はMDLを基準に束草までは47キロ、北朝鮮通川までは33キロだ。韓国側がはるかに広い海を緩衝水域として譲歩し、公平性を欠いている。

  また北朝鮮は椒島付近で海上訓練をしない。しかし韓国はペクリョン島や延坪島(ヨンピョンド)など西海5島を守るために訓練を随時する必要がある。西海5島は北朝鮮の海岸砲と海軍基地がある長山串(チャンサンゴッ)と登山串(トゥンサンゴッ)の目の前だが、韓国の艦艇は遠い平沢(ピョンテク)から来なければならない。延坪島砲撃挑発当時は海岸砲でなくその後方の野砲を使用した。これに対してペクリョン島・延坪島の唯一の防御手段であるK-9自走砲などの射撃訓練をしなければ、韓国側の対応態勢は大きく落ちる。西海ではいつも北朝鮮が挑発し、韓国側は防御の立場だった。北朝鮮さえ挑発しなければ緊張が高まる理由はない。北朝鮮は今回の合意で南北基本合意書でも認めたNLLの無効化を図る可能性もあると、キム・ジンヒョン元海軍少将は指摘した。

  最も深刻な項目は空中敵対行為の中止だ。合意で南北は東部地域はMDLを基準に15キロ、西部地域は10キロ内の空域に無人機を飛ばさないことにした。ところが韓国軍は前方の無人機で北朝鮮軍の動態を監視する。韓国の師団・軍団の無人偵察機は北朝鮮軍の前方の長射程砲配備をはじめとする軍事活動を一日に何度か偵察する。北朝鮮軍の挑発を監視し、実際に挑発をすれば直ちに対応できるよう準備する。したがってこの区域で無人偵察機の飛行を禁止すれば韓国軍は北側の動きを監視できない。数千億ウォンを投じて購入した無人偵察機が倉庫に入ることになるかもしれない。さらに陸軍は今後、中隊・大隊・連隊級にまで小型無人偵察機を備える計画だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が偵察・監視能力の強化を強調した国防改革もまた見直さなければいけない状況だ。特に首都圏を脅かす北朝鮮の長射程砲に関する情報は完全に得られなくなる。米国への情報依存がさらに強まる。軍がその間、北朝鮮長射程砲に対応するために数兆ウォンを投入して構築した多連装砲と戦術地対地ミサイルなど対火力戦体系も無用になる。

<Mr.ミリタリー>武装解除レベルの苦肉の策、南北軍事合意に隠れた危険(2)

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