韓経:【コラム】韓国経済に臨界点が近づいている

韓経:【コラム】韓国経済に臨界点が近づいている

2019年03月15日10時21分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
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  ボクシングの試合で会心のフックやストレートは相手を倒す。しかし一発で試合が終わるケースは多くない。4回倒れたホン・スファンの逆転KO勝利もそれで可能だった。KOの確率が高いのはむしろジャブでじわじわとダメージを与えていく場合だ。軽く放つジャブは小雨に服が濡れていくように相手を崩す。前に倒れれば再び起きるのは難しい。

  通貨危機、金融危機は一撃必殺だったが、製造業の強い回復弾力性のおかげで再起することができた。しかし今は国内外から飛んでくる無数のジャブを受け、徐々にダメージが蓄積している。全体産業の中で好調な分野はなく、自営業は厳しくなっている。唯一の支柱となっている輸出までが2けた減少だ。税金投入で創出したアルバイト以外には仕事も見つけにくい。青年はため息と挫折の中で怒りを表している。「失われた20年」の日本もこのような状況だったのだろうか。

  先月1週間、京畿道平沢(ピョンテク)から全羅南道霊光(ヨングァン)、釜山(プサン)、慶尚北道浦項(ポハン)、江原道高城(コソン)まで海岸線に沿って2400キロをを回ったある教授の言葉が脳裏から離れない。「話にならない。停止した工場、つぶれた飲食店、船が2隻だけの釜山(プサン)新港…憂鬱になるしかない」。

  将来が見えないのも同じだ。ライドシェア、ビッグデータ、自動運転車、遠隔医療など新しいものはすべてふさがっている。世界が激しく競争しているが、単独で逆走している。4年時限付き規制サンドボックスも次期政権でどのような運命を迎えるか分からない。グリーン成長、創造経済もそうだった。消極行政を厳罰するという脅しのため規制は消えない。「成長が止まった社会」は停止しているすべての場所が既得権だ。

  「各自生き残り」時代に誰もが熱心に艪を漕いでいる。ところがどこに向かって進むのかは分からない。リーダーシップの舵が故障したからだ。国民の視線は未来、子どもの世代、引退後に向かっているが、政治の視界は過去と次の選挙だけだ。したがって国際通貨基金(IMF)が「短期・中期逆風(headwind)」を心配して労働市場の「柔軟安定性(flexicurity)」と参入障壁の緩和を忠告しても、補正予算勧告ばかりが聞こえるようだ。

  多くの知識人が「経済が総体的に沈んでいる」と懸念している。生産人口が減少すれば技術、法・制度、革新などで国家レベルの「実力」を高めるのが急務だ。そのような実力を見せる全要素生産性の低下が危機の本質だ。租税財政研究院によると、2001-05年に0.83%、2006-10年に1.08%だった全要素生産性の増加率は2011-16年には-0.07%に急落した。

  所得主導成長を信仰するように守る文在寅(ムン・ジェイン)政権でこれを変える可能性はゼロに近い。線型に動く経済をぶつ切りした分節型で接近し、さらには矛盾まで招きながらだ。革新成長を掲げてコスト上昇(所得主導成長)を誘発し、投資活性化を要求しながら投資を足を引っ張り、脱原発を強行しながら原発セールスをする姿だ。

  韓国は危機予防はできなくても克服は速やかにする国だった。モルガン・スタンレーのルチル・シャルマ新興市場総括社長は「50年間も年平均5%以上成長した国は世界で韓国と台湾だけ」(『ブレイクアウト・ネーションズ』)であり「製造業が強い国は決して崩れない」(『アフター・クライシス』)と言った。しかしこれは過去の話だ。

  大企業さえも実績悪化を越えて成長の限界に直面し、中堅・中小企業は次々と売りに出されている。さらに北核の罠にかかった孤独外交、民心に揺れる司法までがさらなる不確実性として近づく。労働界はろうそく政権の債権者として責任感なく権利ばかり要求する。あたかも砂山に刺した棒(経済)が倒れるまで少しずつ砂を取っていく山崩しゲームをするようだ。

  物理の世界だけでなく経済にも急激な墜落の臨界点(critical point)がある。水があふれるのは最後の一滴であり、岩が転がり落ちるのは小さな石一つが抜ける時だ。企業人は本能的に臨界点が近づいたことを感じている。持ちこたえるだけ持ちこたえて手を放してしまうのも一瞬のことだ。

  オ・ヒョンギュ/論説委員
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