【社説】現場とかけ離れた認識を見せた文大統領の対談
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2019.05.11 11:55
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任2周年を迎えてKBS(韓国放送公社)と対談した。対談で見せた国政全般に対する大統領の現実認識は国民の認識とかけ離れているという感じだった。特に経済問題に関してはこうした印象がさらに強かった。経済の悪化にため息をつきながらも、有利な統計を持ち出して政策の正当性を主張した。「時間が経てばうまくいく」という根拠のない楽観主義を見せ、具体的な解決策の提示は不足した。
文大統領は急激な最低賃金引き上げの副作用を意識して速度調節を示唆した。その一方で「最低賃金引き上げで雇用市場の中に入ってきた方々の給与などは非常に良くなった」とプラスの側面を強調した。所得主導成長という政策基調を変える考えがないことを明確にしたのだ。
しかしこうした統計の引用はごまかしにすぎない。最低賃金が上がれば低所得労働者が恩恵を受けるのは子どもでも分かる。問題は一つだけを知り二つは知らない政策の短見で経済全般に問題が生じていることだ。無理な最低賃金引き上げの衝撃は自営業者と失業者に集中している。文大統領の言葉のように昨年は5分位の平均賃金が1分位の平均賃金の5倍以下に下がり、労働市場内の格差が狭まったのは事実だ。しかし統計庁が集計した昨年の世帯所得は5分位が1分位の13倍にのぼるなど社会全般の貧富の差は拡大した。このような形の経済認識は失業率、雇用、成長率など他の数値説明でも続いた。依然として10%を上回っている青年失業率にも「2、3月に入ってとても低くなった」と主張し、輸出グラフが危機を示していても「輸出と投資が回復している」と語った。