【コラム】米朝首脳会談場を徘徊する3つの幽霊(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.02.12 13:49
ハノイを徘徊する3つ目の幽霊、南米が元祖のポピュリズムだ。今年の一般教書演説でトランプ大統領は自分の外交基調を「統制力のある現実主義(principled-realism)」と明らかにした。しかし彼が愛用するというマイク・タイソンのこの言葉が真実であるようだ。「誰でもそれなりの計画を持っているだろう…あごに一発を食らうまでは」「私がいなければ今ごろ北朝鮮と全面戦争中だ」というトランプ大統領には、「ICBM除去で米国の安全を守った」というハノイのツイート一発が誘惑になるだろう。内政のポピュリズムは選挙でも審判することができる。しかし自身を愛国主義で包装、扇動するポピュリズムが外交と交われば…。結果には誰も責任を負わず、結果の復元も不可能だ。残された苦痛は悪魔のようなディテールに生死がかかる弱者に回ってくる。
「商売人大統領」の増強された現実主義、そこに民族主義・ポピュリズムまで加勢した幽霊のいたずらは、このような交渉結果を生み出すかもしれない。「米国の安全を脅かす北朝鮮のICBMの除去と相当な制裁解除を交換する。残りの非核化は段階的に推進。米国が北朝鮮を不可侵する終戦宣言をプレゼントする。トランプ大統領は米国が安全になったとし、モラー特別検察官を避けて再選街道を走る」。
韓国戦争(朝鮮戦争)当事者の我々にこうした「終戦の喜び」は虚構にすぎない。果たして何が違うのか、停戦と。核兵器・核物質廃棄の検証に長々しい曲折を経て、どこかに隠れている核を頭に載せて不安を感じながら生きていかなければいけないのか。米国の中国封鎖拠点は果たして日本なのか、韓国なのか。歴史上、米国の終戦はほとんど敵の無条件降伏(ドイツ、日本、イラク)か、そうでなければ軍の撤収(ベトナム、シリア、アフガン)の手続きを踏んだ。終戦という覆いの下、米軍の縮小と撤収がいつも禍根の火種として残るのはでないだろうか。北朝鮮の100万人の大軍と通常戦力、「全国的な範囲の民族解放と人民民主主義革命課題の完遂」という労働党の規約にはいかなる変化があるだろうか。何よりも終戦後、我々内部の両極端勢力の「広場対立」こそさらに険悪になるのではないだろうか…。3つの霊に立ち向かって我々の安全と平和を守らなければいけないハノイ交渉が近づいている。