「死ぬまで行くつもりない」 敬老堂を冷遇する高齢者…なぜ?=韓国

「死ぬまで行くつもりない」 敬老堂を冷遇する高齢者…なぜ?=韓国

2018年10月16日16時13分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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金正淑(キム・ジョンスク)大統領夫人が老人の日だった今月2日午後、ソウル鍾路区(チョンノグ)のサムチョン敬老堂を訪問して高齢者と言葉を交わしている。(写真提供=青瓦台)
  韓国ソウル大都市圏に位置する京畿道城南市盆唐区(キョンギド・ソンナムシ・プンダング)に暮らしているコ・ヨンハクさん(71、男性)は敬老堂(韓国の高齢者向けの地域福祉施設)に行ったことが一度もない。「おじいさん」という単語が最も嫌いだというコさんは、中央日報の電話インタビューで「私の友人は敬老堂を覗きすらしない」とし「そこに行けば本当におじいさんになってしまう気がして、これからも行くつもりはない」と話した。

  コさんよりも7歳年上のイ・チャンソクさん(78)も記者に対して「ソウルに暮らしながら妻とボランティア活動に行っても、敬老堂には行ったことがない」とし「やることもなく役立たずの人間のようにただテレビを見ていなくてはならないのではないか」と言った。

  韓国の代表的な高齢者福祉施設である敬老堂が老年世代に冷遇されている。韓国社会は2017年65歳以上の人口比率が14%を突破して高齢社会に入った。だが、敬老堂を訪れる高齢者の足は遠のくという逆説的な現象が起きている。

  敬老堂の運営主体である大韓老人会関係者は「敬老堂の会員数現況は公開できない」としながらも「(会員数が)以前ほど増えていない」と説明した。

  先月と今月の初め、記者が訪れた首都圏大型マンション団地(500~1800世代)にある敬老堂は、新聞だけが寂しく置かれたままガランとしているか、数人の高齢者が集まっているだけだった。老人の日である今月2日、ある敬老堂で会ったソさん(91)は「全く人がいない日も多い」と言った。

  高齢者福祉専門家は、韓国老人世代の敬老堂冷遇現象を深刻に受け止めている。敬老堂は国内にある6万7342カ所(2017年基準)の高齢者余暇施設のうち、事実上すべてともいえる97.4%(6万5650カ所)を占めている。高齢者福祉館と高齢者教室の比率が2.6%にすぎず、敬老堂が見向きもされなくなれば、これに代わる老人余暇施設はほぼないに等しい。

  数年間にわたって敬老堂を研究してきたキム・チュンナム京畿(キョンギ)福祉財団研究委員は「7080世代はもちろん、予備老年世代であるベビーブーマーは敬老堂に行く考えは毛頭ない」とし「新老年世代と呼ばれる彼らの余暇欲求を満足させることができないなら、敬老堂は消滅する可能性もある」と指摘した。

  このように敬老堂が冷遇されている理由は、老年世代の欲求と必要が過去とは明らかに変化しているためだ。先月、報告書「敬老堂活性化」を発表した大邱慶北(テグキョンブク)研究院のパク・ウニ研究委員は「老年世代の学歴と健康水準が高まり、これまで地域の憩いの場だった敬老堂がそれ以上の役割を求められている」と分析した。

  2016年大韓老人会が全国の敬老堂を対象に実施した「敬老堂活性化実態調査」を見てみると、敬老堂を利用する高齢者も変化を求めていた。全国敬老堂のうち62.2%である3万9866カ所に所属する会員らは、敬老堂の「余暇プログラム」に対して満足していないとの立場を示した。

  回答内容別では、「プログラムが多様でない」(22.8%)、「定期的なプログラムが提供されていない」(21.2%)、「関心のないプログラムが提供されている」(16.5%)の順で不満が高かった。大韓老人会関係者は「敬老堂活性化事業が地方委譲事業に分類されて国費支援が難しくなり、予算難に直面している」と説明した。

  専門家は、敬老堂のハードルを下げる「開放型敬老堂」と世代・地域別に特化プログラムを提供する「敬老堂革新事業」が敬老堂活性化の方案だという。従来の会員制中心の閉鎖的な敬老堂を全世代が親しめるような家族余暇施設へと変貌させなければならないということだ。

  パク・ウニ研究委員は「欧州の敬老堂で実験的に取り入れられているさまざまな革新モデルに注目するべき」と強調した。フランスは敬老堂にボードゲームや任天堂Wiiゲーム機を設置し、青少年と老年世代が一緒に楽しむ「ゲーム図書館」を作って大きな反響を呼んだ。ドイツの場合、敬老堂の予備軍であるベビーブーマー世代をターゲットとした職業あっ旋など、オーダーメード型プログラムを提供している。

  韓国京畿道でも過去3年間、「朝が待ち遠しい敬老堂」事業を通じて都内19カ所の敬老堂で特化プログラムを進めた。高陽市徳陽区(コヤンシ・トギャング)のユバン敬老堂は老年世代(第1世代)と青少年世代(第3世代)が一緒に活動する「農作業体験教室」と「歴史探訪教室」を行って成功的モデルだとの評価を受けた。松坡区でも2015年から第1・3世代が一緒に活動できる開放型敬老堂モデルを導入して、現在25カ所の敬老堂に拡大・運営している。

  キム・チュンナム研究委員は「どの国も韓国のようなしっかりした敬老堂インフラを整備できていないが、韓国はこのインフラを積極的に活用していくべきだ」とし「韓国社会に登場した新たな老年世代のために敬老堂の変化が切実な時点」と話した。
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