【時論】韓国、信頼蓄積なく社会的な対話の持続は難しい(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.02.12 09:15
既存の「経済社会発展労使政府委員会(労使政委)」を拡大しながら名称を変更した「経済社会労働委員会(経社労委)」に全国民主労働組合総連盟(民主労総)を参加させようと力を注いでいた文在寅(ムン・ジェイン)政府の努力がついに失敗に終わった。「労働尊重」をモットーに掲げていた文政府にとっては失望感が大きいに違いない。「労働貴族」と呼んできた民主労総の無責任な態度も批判を受けている。民主労総の参加が失敗に終わり、韓国社会の一角から欧州式コーポラティズム(corporatism、組合主義)に対する懐疑論が今更のように頭をもたげている。さらに経社労委無用論までが急速に広がっている。
しかし、長年にわたり遅々として進んでいなかった「光州(クァンジュ)型働き口」プロジェクトが労・使・民・政の合意で妥結した。これに伴い、社会的対話の新たな可能性と評価されながら、政府も早々と「光州型働き口」の早期拡散を推進すると公言して乗り出している。
20余年ぶりの民主労総復帰を念頭に置いて「完ぺきな社会的対話機構」を想定していた経社労委は、昨年11月に雇用労働問題などの懸案を解決する新たな社会的対話機構として発足した。この機構を議決機構と見なすという大統領の意志表明は経社労委に力を付与するための政治的なレトリックだったかもしれない。だが、韓国の労働社会の前後の脈絡に照らしてみると、それほど適切なことではないと考える。なぜなら、これは労使間はもちろん、全般的に社会的信頼度が低い韓国で社会的対話を深化させるよりは結果の有利不利だけをめぐって葛藤と突発行動を激化させるおそれがあるからだ。