韓国統一部が１５日、北朝鮮離脱住民記者を南北高官会議の現場取材から排除して論議を呼んでいる。北朝鮮を意識したためではないのかという「低姿勢」批判を自ら招く格好になった。

この日、統一部が現場取材から外れるよう求めた記者は朝鮮日報のキム・ミョンソン氏で、脱北後２００２年に韓国入りし、２０１３年から統一部の出入り記者としてこの仕事に従事してきた。統一部はこの日、会談現場に向けて出発する１時間前に、記者団に対して「記者を交代しなければ統一部はキム記者をプール取材団から排除する方針」と通知した。プール取材は、現場の状況によって記者団全員が取材することができない場合、記者団で決めた順序に従って代表記者が現場取材を行った後、プール取材記者と内容を共有する。

キム記者を含めた共同取材団の名簿は１２日に確定していたが、統一部が今になって排除方針を通知したことから、結局キム記者は現場取材に合流することができなかった。

趙明均（チョ・ミョンギュン）統一部長官は会談場に向けて出発する際、「板門店という状況、南北高官級会談のさまざまな状況を勘案した判断」としながら「責任は私が負う」と述べた。

統一部当局者は「北朝鮮が事前に脱北者出身の南側ジャーナリストによる取材について、問題を提起するようなことはなかった」と主張した。

しかし、「韓半島（朝鮮半島）運転者論」を主張している政府が北朝鮮と米国という「客」を意識する、運転者論の「影」だという指摘が登場している。

これに先立ち、青瓦台（チョンワデ、大統領府）は１１日、ドナルド・トランプ米国大統領が制裁解除に関連して、「彼ら（韓国）は我々の承認（ａｐｐｒｏｖａｌ）なしには何もできない」と発言したことをめぐり「韓米間で緊密な協力を行っているという意味」という立場を出した。外交部からは「承認」という表現をめぐり「異例」という言葉が出たが、韓国政府はホワイトハウスを意識したように公開反論を避けた。

一方、統一部出入り記者団はこの日、「脱北民の権利保護に率先しなければならないはずの統一部が、むしろ差別をした」として「言論の自由に対する深刻な侵害」という立場文を出して趙長官の謝罪および再発防止を要求した。