サムスン電子が２５日午後６時（現地時間）、スペイン・バルセロナで開かれた「モバイル・ワールド・コングレス（ＭＷＣ）２０１８」でギャラクシーＳ９を公開した。この日公開されたギャラクシーＳ９はスマートフォンの目に該当するカメラの革新に焦点を合わせた。ギャラクシーＳ９には１秒間に９６０フレームを撮影できる「スーパースローモーション」イメージセンサーが搭載された。スーパースローモーションとはスポーツ競技で選手の動作分析用カメラとして使用される超高速撮影技術の一種。今回の平昌（ピョンチャン）冬季オリンピック（五輪）でショートトラック選手が氷上を滑走する場面をスローで見せる動画が超高速撮影技術で作られたものだ。

サムスン電子の関係者は「水風船が割れる瞬間や花に止まっている蝶が飛ぶ瞬間など従来のスマートフォンカメラで撮影が不可能だった場面を撮影できる」とし「超高速イメージセンサーをスマートフォンに搭載できるほど小型化したのが特徴」と説明した。ギャラクシーＳ９には人の目の虹彩のように明るいところと暗いところに合わせてＦ値を切り替える「アパチャー」（Ｆ１．５とＦ２．４）カメラが搭載された。明るいところでは虹彩は瞳孔を狭めて光を減らす。このように周辺の光によってカメラのＦ値を変える。

サムスン電子の関係者は「明るいところではＦ値を２．４、暗いところでは１．５に自動変換する」とし「ギャラクシーＳ８と比較して性能を２８％改善し、現在まで発売されたスマートフォンのうち最も明るいレンズ」と説明した。前作のギャラクシーＳ８カメラはＦ値がＦ１．７の単一だった。

光が不足する環境でも写真を撮影できるようノイズリダクション機能も追加した。さらに自撮り写真を使用者と似たアバターにする「ＡＲ　Ｅｍｏｊｉ」も公開した。目・鼻・口など１００個以上の顔の特徴を認識して映画の中のアバターのように自分と似たキャラクターを作るというものだ。

ギャラクシーＳ９を通じて読み取ることができるサムスン電子の技術トレンドは製品間の協業だ。今回公開した「Ｂｉｘｂｙ　Ｖｉｓｉｏｎ」が代表的な例に挙げられる。サムスン電子はギャラクシーシリーズなど自社の製品に搭載した人工知能（ＡＩ）プラットホームＢｉｘｂｙにイメージ認識を結びつけたＢｉｘｂｙ　Ｖｉｓｉｏｎを公開した。例えば海外旅行者がスペイン語の看板や案内文をカメラで撮ればこれを韓国語に翻訳する。

サムスン電子が２０１６年に買収したハーマンのオーディオブランドＡＫＧのデュアルステレオスピーカーも目を引く。デュアルスピーカーはギャラクシーシリーズで初めての搭載となる。

高東真（コ・ドンジン）サムスン電子社長は「意味のある革新はいつも人から始まった」とし「ギャラクシーＳ９を通じてメッセージと感情を共有する時代を開く」と述べた。

カメラとスピーカーの進化に比べ、製品デザインは前作のＳ８とほとんど同じという点はＳ９の弱点に挙げられる。またハードウェアではなくソフトウェアの側面で目立った革新がないという評価もある。特にＡＩプラットホームＢｉｘｂｙ２．０はＳ９に搭載されると予想されたが、開発が遅れて今回は反映されなかった。Ｂｉｘｂｙ　Ｖｉｓｉｏｎはグーグルが昨年出した自動翻訳機能ワードレンズ（Ｗｏｒｄ　Ｌｅｎｓ）と似ている。ＡＩ生態系の構築でアマゾンやグーグルに比べてサムスン電子の動きが遅いという評価が出てくる理由だ。

サムスン電子がＭＷＣでギャラクシーＳの新製品を公開するのは２年ぶりとなる。サムスン電子は２０１４年のギャラクシーＳ５から２０１６年のＳ７まで毎年ギャラクシーＳシリーズをＭＷＣで公開してきた。しかし２０１６年にギャラクシーノート７のバッテリー問題が発生し、ギャラクシーＳ８は米ニューヨークで公開した。今回のバルセロナＭＷＣギャラクシーＳ９公開行事は、サムスン電子が「ホーム球場」に戻ってきたことを意味する。

サムスン電子はギャラクシーＳ９を通じて中国・インドなど苦戦中のスマートフォン市場でシェアをばん回する計画だ。昨年の中国市場ではファーウェイ（華為）などにシェアを奪われて５位圏から外れた。インド市場でも昨年１０－１２月期、中国シャオミに初めて１位を明け渡した。

ギャラクシーＳ９の韓国での出荷価格は９０万ウォン（約９万円）半ばになると予想される。サムスン電子と移動通信３社は今月２８日からギャラクシーＳ９の予約販売に入る予定だ。予約加入者は３月９日に開通する。予約なしに売り場で購入できる公式発売日は３月１６日だ。