「血の色をした空、幽霊が出てきそうなグロテスクな背景、丸い目と痩せた頬を持った、恐怖に震えている人間。そして、虚空を揺るがす悲鳴」。ホラー映画『スクリーム』の一場面を連想させるこの作品は、ノルウェーの画家エドバルド・ムンク(1863~1944)の代表作『叫び(1893)』だ。
19世紀末の象徴主義美術の代表作であり、20世紀ドイツの表現主義画風に至大な影響を及ぼした「美術史的な傑作」と評価される、このぞっとする名画について、著名な美術評論家や美術史学者らは、一様に大げさな解釈をしてきた。作家ムンクが恐怖を感じさせる画面を通じて「現代の人々の精神的苦悩」や「生の恐怖」、「産業化についての批判」または「人間の内面の絶望的な心理状態」を象徴的に描き出したというのだ。
しかし、ドイツの日刊紙「ビルト」は10日「以前のこうした解釈は非常に間違っており、作品の誕生と関連した謎が解けた」と報じた。米テキサス州大の天体物理学者ドナルド・オルソン教授によると、『叫び』は、19世紀末の最大の自然災害を、絵に形象化したものだ。