大邱市(テグシ)地下鉄構内で起きた放火による火災は、人災だった。被害が拡大されたのは▽地下鉄車内の防災機能の不十分▽地下鉄駅舎の換気施設の不備▽乗務員・乗客への安全教育の不足--など総体的な防災管理を怠ったためというのが、調査の結果分かった。聖水(ソンス)大橋と三豊(サムプン百貨店の崩壊など大事故が発生する度指摘されていた災難管理システム上の問題点が、ついに「世界で2番目の地下鉄事故」との記録へとつながったわけだ。「泥棒を捕らえて縄をなう」格好となったものの、積極的な防止策を講じてこそ「事故共和国」という汚名をそそぐことができる。
運行中の地下鉄車両の壁、天井、座席は火がつくとそのまま燃えてしまう素材で、床材料も塩化成分を含有していて燃焼時に多量の有毒ガスを噴きだす素材だったという。それこそ、「焚きつけ」が走っているのも同然だったと言っても言い過ぎでない。外国の場合、地下鉄車両には、繊維強化のプラスチックやアルミニューム樹脂など不燃材や耐燃材の素材を使うよう定めている。しかも、地下鉄駅構内が一瞬のうち毒ガスに満ちてしまったのは、地下空間の有毒ガスを外部に排出し外部の空気を地下空間に流入する、換気システムが不備だったためという。これは、乗客の安全を担保に建設コストを削減したいという経済論理に偏った結果であり、情けなく思えてならない。