◇「エレットリカ」プラットフォーム公開

現地時間9日、イタリア北部マラネッロにあるフェラーリ本社Eビル。照明に照らされたステージの中央には、フェラーリを象徴する赤い布で覆われた構造物が鎮座していた。布がゆっくりと取り払われると、フェラーリ初の純電気自動車プラットフォーム「エレットリカ（Elettrica）」の銀色に輝く本体が姿を現した。

フェラーリはこの日、「2025キャピタルマーケットデー」イベントを開催し、自社初の電気自動車プラットフォームと核心構造を公開した。フェラーリが電動化時代にどのような角度から準備しているかを示す場となった。フェラーリは来年上半期の「エレットリカ」発売を目指して、最終性能テストを実施していると説明した。

今回公開された電気自動車専用プラットフォームは、車体下部に大型バッテリーを配置し重心を低くしたことが特徴だ。車両後部には新たに設計したフレーム構造を採用し、走行中に車体から発生する騒音や振動を軽減している。

車両の外観はまだ公開されていないが、伝統的なフェラーリスポーツカーの比率やデザイン要素の一部が反映されると見られる。運転席は前輪の近くに配置され、短い前方構造により攻撃的かつ俊敏な比率を実現している。

電気自動車の核心である動力システムは、前輪と後輪にそれぞれ電気モーターを搭載した四輪駆動方式だ。この電気モーターはフェラーリが独自に開発したもので、運転状況に応じて各車輪の出力を精密に制御し、敏捷ながらも安定した走りを可能にしている。2つのモーターが生み出す総出力は約1130馬力で、前輪が約286馬力、後輪が約843馬力をそれぞれ担当する。これは従来のフラッグシップハイブリッドモデル「フェラーリSF90ストラダーレ（Stradale）」（986馬力）を上回る数値だ。停止状態から時速100キロに到達するまで2．5秒、最高速度は時速310キロ以上が予想されている。

電気自動車の心臓部であるバッテリーはフェラーリが独自に設計・組み立てを行い、バッテリーセルは韓国企業SKオンが供給する。15モジュールで構成されるこのバッテリーは、エネルギー密度305ワット／キログラム、容量122キロワットで、テスラ（Tesla）「モデルS（Model S）」ロングレンジ（約100キロワット）よりも大容量を誇る。1回の充電で約530キロの走行が可能で、高性能電気スポーツカーとしては非常に長い航続距離を確保している。

フェラーリは性能だけでなく、感覚的な運転体験も電気自動車で再現させようとしている。一般的な電気自動車が人為的なサウンドシステムを使用しているのに対し、フェラーリは電気モーターの回転や振動から発生する音をセンサーで感知し、増幅・伝達する方式を採用した。フェラーリは「ドライバーが車両の反応を音でも感じられるように設計している」とし「電気自動車でも『運転する楽しさ』は変わらない」と強調している。

フェラーリは来年の「エレットリカ」発売を皮切りに、電気自動車モデルを追加投入し、電動化ラインナップを拡大する計画だ。2030年までに販売車両全体の構成比を内燃機関40％、ハイブリッド40％、電気自動車20％にする戦略を掲げている。ベネデット・ヴィーニャ最高経営責任者（CEO）は「フェラーリの独自の地位は、レガシー、技術、レーシングの交差点にある。技術中立性と生産柔軟性、顧客中心の哲学を基に、電動化時代に備えている」と述べた。